【解説】盛土の段切りとは?|段切りが必要な勾配と寸法の基準・盛土の締固め管理

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傾いた地盤に盛土をするとき、どの勾配から段切りが必要になるのか知りたい

段切りの高さと幅を、何を根拠に決めればよいのか分からない

盛土の締固め(転圧)を、どの値で管理すればよいのか確かめたい

斜面にそのまま盛土をすると、盛土は元の地盤との境目に沿って滑り落ちやすくなります。また、締固めが足りない盛土は、完成したあとの不同沈下や滑動崩落の原因の1つになります。

そこでこの記事では、段切りが必要になる原地盤の勾配と、段切りの寸法・排水勾配について解説します。

あわせて、盛土の締固めの層の厚さと、締固め度・空気間隙率による締固め管理の方法も整理します。

結論から申しますと、原地盤の勾配がおおむね15度(約1:4)以上なら、原則として段切りが必要です。

また、盛土はおおむね30cm以下の層ごとに締め固めましょう。

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土質 太郎

建設コンサルタントに長年従事しており、宅地造成の地盤分野に特化した情報を発信しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士

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【結論】段切りは勾配15度程度以上の原地盤で行い、盛土は30cm以下の層ごとに締め固める

盛土の段切りと締固めの基準の目安は、次の表のとおりです。

項目基準の目安主な出典
段切りが必要になる原地盤の勾配15度(約1:4.0)程度以上盛土等防災マニュアル
段切りの1段の寸法高さ0.5m以上・幅1.0m以上自治体の技術的基準、土木工事共通仕様書
段切り面の排水勾配のり尻の方向へ3〜5%程度自治体の技術的基準
盛土の1層の厚さおおむね30cm以下盛土等規制法施行令第7条
締固めの管理の値締固め度90%以上、または空気間隙率10%以下など自治体の技術的基準、土木工事施工管理基準

盛土等規制法の政令では、段切りをすることと、30cm以下の層ごとに締め固めることが定められています。

一方で、段切りの寸法と締固め度の値は自治体によって値や対象が異なるので、申請先の自治体の基準で確かめましょう。

段切りとは:傾いた原地盤を階段状に切ってから盛土をする方法

段切りとは、傾いた原地盤の表面を階段状に切り取ってから、その上に盛土をする方法のことです。

斜面にそのまま盛土をすると、盛土は斜面に沿って滑りやすくなります。

そこで段切りをすると、盛土が原地盤の段へ食い込み、境目に沿った滑りを抑えることができます。

盛土等規制法の政令にも、段切りについて次のように書かれています(宅地造成及び特定盛土等規制法の施行令第7条第1項第2号)。

著しく傾斜している土地において盛土をする場合においては、盛土をする前の地盤と盛土とが接する面が滑り面とならないよう、段切りその他の措置を講ずること。

段切りの断面のイメージは、次の図のとおりです。

段切りの断面のイメージ。傾いた原地盤を階段状に切り、1段の高さを0.5m以上、幅を1.0m以上とし、段切り面にのり尻の方向へ3〜5%の排水勾配を付ける。盛土はおおむね30cm以下の層ごとに締め固める。

段切りでは、原地盤を階段状に切り、1段ごとに平らな面(段切り面)と立ち上がりの面をつくります。

また、段切り面には、水がたまらないよう、のり尻の方向へ下がる排水勾配を付ける必要があります。

段切りが必要になる原地盤の勾配は、15度(約1:4)程度以上

原地盤の勾配がおおむね15度(約1:4.0)以上なら、原則として段切りが必要です。盛土等防災マニュアルにも、次のように書かれています(Ⅴ・6「盛土の施工上の留意事項」)。

盛土基礎地盤の表土は十分に除去するとともに、勾配が15度(約1:4.0)程度以上の傾斜地盤上に盛土を行う場合には、盛土の滑動及び沈下が生じないように、原則として段切りを行うことが必要である。また、谷地形等で地下水位が高くなる箇所における傾斜地盤上の盛土では、勾配にかかわらず段切りを行うことが望ましい。

段切りの寸法は、高さ0.5m以上・幅1.0m以上が目安

段切りの1段の寸法は、高さ0.5m以上・幅1.0m以上が目安です。

主な基準の値は、次の表のとおりです(2026年10月時点で公開されている版)。

基準段切りが必要な原地盤の勾配段切りの寸法段切り面の排水勾配
静岡県の技術的基準15度(約1:4.0)程度以上高さ0.5m以上・幅1.0m以上のり尻の方向へ3〜5%程度
福岡県の技術的基準(案)15度以上原則、高さ0.5m以上・幅1.0m以上のり尻の方向へ3〜5%程度
山梨県の手引き(技術的基準編)15度程度(約1:4)以上、または旧谷部など地下水位が高くなると予想される箇所高さ50cm・幅1m程度以上のり尻の方向へ3〜5%程度
新潟市の技術的基準15度(約1:4.0)程度以上原則、高さ50cm・幅1.0m以上排水のための勾配を付ける
浜松市の技術的基準15度以上高さ50cm・幅1m以上で、大きく土取りをしない程度のり尻の方向へ3〜5%
国の土木工事共通仕様書1:4より急最小高さ0.5m・最小幅1.0m—

段切り面には、のり尻の方向へ3〜5%程度の排水勾配を設ける

段切り面には、のり尻の方向へ下がる3〜5%程度の排水勾配を設ける必要があります。理由は、段切り面に雨水や湧き水がたまると、盛土が水を含んで軟らかくなるからです。

また、沢や集水地形の上に盛土をする場合など、段切り面から湧き水や地下水の多く出るおそれがあるときは、段切り面に地下水排除工を設けましょう。

盛土の中の排水の考え方は、【盛土工】盛土内排水層の設置基準で確かめてみてください。

段切りをする盛土の施工は、5つの段階で進める

段切りをする盛土の施工は、次の5つの段階で進めます。

  1. 伐開除根:草木を刈り取り、切り株や根を取り除く
  2. 表土の除去:草の根などを含む地表の土を取り除く
  3. 段切り:原地盤を階段状に切り、段切り面に排水勾配を付ける
  4. 排水工:湧き水がある所や谷では、暗渠排水工や基盤排水層を設ける
  5. 敷均しと締固め:盛土の材料を薄く広げ、層ごとに締め固める

伐開除根と表土の除去は、草木の根や柔らかい表土を、盛土の下へ残さないための作業です。草木や切り株を残したまま盛土をすると、あとで腐って、盛土の緩みや沈下の原因になります。

また、盛土の最初の層では、原地盤の表面をほぐしてから、盛土の材料と一緒に締め固めて、原地盤と盛土を一体にしましょう。

土木工事共通仕様書の盛土工でも、盛土の1層の厚さの1/2まで地盤の表面を掻き起こすよう定められています。

腹付け盛土でも、既にある盛土ののり面を段切りしてから盛る

腹付け盛土とは、既にある盛土ののり面や斜面に沿って、横から足す盛土のことです。

既にある盛土ののり面も傾いた地盤なので、勾配が15度程度以上なら、段切りをしてから腹付けしましょう。

盛土等防災マニュアルにも、既設の盛土に腹付けする場合は、原地盤の処理と同様な配慮が必要だと書かれています。

切土と盛土の境目は、特に十分に締め固める

切土と盛土の境目(切盛境界)は、地盤の支持力が不連続になり、特に湧き水や浸透水が集まりやすい所です。

切盛境界の注意点は、切土と盛土の違いとは?意味・宅地の注意点と図面での見分け方を解説の記事で確かめてみてください。

盛土の締固め(転圧)は、おおむね30cm以下の層ごとに行う

盛土の締固めとは、盛った土を重機で押し固めて、土の粒の間のすき間を減らす作業のことです。ローラーで踏み固める締固めのことを、転圧とも呼びます。

盛土は一度に厚く盛らず、おおむね30cm以下の層に分けて、層ごとに締め固めます。理由は、厚く盛ると、ローラーの重さが層の下まで十分に伝わらず、層の下側が締まりにくくなるからです。

盛土等規制法の政令にも、次のように書かれています(施行令第7条第1項第1号イ)。

おおむね三十センチメートル以下の厚さの層に分けて土を盛り、かつ、その層の土を盛るごとに、これをローラーその他これに類する建設機械を用いて締め固めること。

まき出し厚と仕上り厚の違いは、締め固める前の厚さか後の厚さか

層の厚さには、締め固める前の「まき出し厚」と、締め固めたあとの「仕上り厚」の2つがあります。盛土等防災マニュアルの30cmはまき出し厚で、国の土木工事共通仕様書の30cmは仕上り厚ですので、混同しないように注意しましょう。

層の厚さ意味基準の例
まき出し厚(敷均し厚さ)締め固める前に、土を広げたときの1層の厚さ盛土等防災マニュアル:おおむね0.30m以下
仕上り厚締め固めたあとの1層の厚さ土木工事共通仕様書:路体30cm以下、路床20cm以下

盛土の締固めは、最適含水比に近い水分で行う

土は、水分が多すぎる場合も、少なすぎる場合もよく締まりません。土が最もよく締まる含水比のことを、最適含水比と呼びます。

盛土の材料の含水比が最適含水比から大きく離れているときは、曝気(ばっき。土を広げて乾かすこと)や散水で水分を整えてから締め固めましょう。

粘性土は、締め固めすぎ(過転圧)にも注意する

過転圧とは、必要以上に転圧して、かえって土の強さを落としてしまう状態のことです。

過転圧になりやすいのは、こね返すと強さの落ちやすい(鋭敏比の大きい)粘性土です。

羊羹(ようかん)をイメージするとわかりやすいと思います。

こうした粘性土や自然含水比の高い粘性土では、締固めの回数による管理(下の工法規定方式)に向かない場合があります。

盛土の作業を中断するときは、盛土の表面に勾配を付けて雨水を流す

盛土の作業を終えるときや中断するときは、盛土の表面に勾配を付けて平らに締め固め、雨水がたまらないようにしましょう。

また、宅地造成の盛土では、施工中に造成面の雨水がのり面へ流れ落ちるおそれがあれば、のり肩に防災小堤を設けましょう。

防災小堤とは、のり肩に沿って設ける小さな堤のことです。

盛土の締固め管理には、品質規定方式と工法規定方式の2つがある

盛土の締固め管理とは、盛土が決めたとおりに締め固められているかを確かめる管理のことです。締固め管理の方法には、品質規定方式と工法規定方式の2つがあります。

方式先に決めておくこと確かめ方の例
品質規定方式締固め度・空気間隙率などの値砂置換法やRI(ラジオアイソトープ)計器で、決めた点の密度と含水比を測る
工法規定方式まき出し厚・締固めの層の厚さ・締固めの回数試験施工で回数を決め、TS(トータルステーション)・GNSS(ジーエヌエスエス)で盛土の全面の締固めの回数を記録する

品質規定方式とは、出来上がった盛土の密度や含水比を点で測り、決めた値を満たしているかで判定する方式のことです。

工法規定方式とは、試験施工で決めたまき出し厚と締固めの回数を、本施工で守ったかを管理する方式のことです。

道路の盛土の締固めの確かめ方は、砂置換法・RI計器・TS・GNSSの3つ

道路の盛土の締固めは、次の3つの方法のいずれかで確かめる必要があります。

方法あらまし判定のしかた
砂置換法(JIS A 1214)盛土を掘り、掘り取った土の重さと、掘った跡を埋めた砂の量から密度を求める。最大粒径53mm以下の土に使う1回の試験で3か所を測り、最も低い値で判定する
RI計器放射線を使って、盛土の密度と水分を測る。最大粒径100mm未満の土に使う管理単位ごとに複数の点を測り、平均値で判定する
TS・GNSSローラーが通った位置を記録して、締固めの回数を確かめる全ての管理ブロックで、決めた回数を締め固めたかで判定する

RI計器とは、放射性同位元素(RI)の放射線を使って、土の密度と水分を測る計器のことです。

締固め度と空気間隙率の基準値は、盛土の用途と自治体によって異なる

締固めの基準値は、宅地造成の盛土か国の工事の道路の盛土かで、よりどころになる基準が異なります。

宅地造成の盛土は自治体の技術的基準で、国の工事の道路の盛土は国の土木工事施工管理基準で確かめましょう。

締固め度とは、現場の乾燥密度を最大乾燥密度で割った割合のこと

締固め度とは、現場で締め固めた盛土の乾燥密度が、締固め試験で求めた最大乾燥密度の何%にあたるかを表す値のことです。

締固め度Dc(%)=ρd÷ρdmax×100

  • ρd:現場で測った盛土の乾燥密度(g/cm3)
  • ρdmax:締固め試験(JIS A 1210)で求めた最大乾燥密度(g/cm3)

例えば、最大乾燥密度が1.80g/cm3の土で、現場の乾燥密度が1.65g/cm3だったとします。この場合の締固め度は、1.65÷1.80×100=約91.7%です。

最大乾燥密度は、締固め試験の方法(JIS A 1210のA・B法か、C・D・E法か)によって異なります。C・D・E法は、A・B法より重いランマーで突き固める方法です。

締固め度を比べるときは、どの方法で求めた最大乾燥密度かを確かめましょう。

空気間隙率と飽和度は、粘性土の締固めの確かめに使う

空気間隙率Vaとは、土の全体の体積のうち、空気が占める体積の割合のことです。

空気間隙率が小さいほど、土はよく締まっています。飽和度Srとは、土の粒の間のすき間のうち、水が占める体積の割合のことです。

水分の多い粘性土は、最大乾燥密度に近い密度まで締め固めにくく、締固め度で管理しにくい場合があります。国の土木工事施工管理基準でも、粘性土の締固めは、空気間隙率や飽和度で確かめる基準になっています。

なお、含水比・乾燥密度・飽和度・空気間隙率の換算は、次の計算ツールで行うことができます。

宅地造成の盛土の基準値は、自治体の技術的基準で確かめる

宅地造成や特定盛土等の締固めの基準値は自治体の技術的基準で確かめましょう。例として静岡県と新潟市の基準を下表に示します。

自治体締固めの管理の値対象
静岡県締固め度90%以上、または空気間隙率10%以下大規模な盛土
新潟市締固め度90%以上(空気間隙率なら10%以下)が標準盛土の全ての管理単位

国の工事の道路の盛土は、土木工事施工管理基準の値で管理する

国の工事の道路の盛土を砂置換法で測る場合、締固めの基準値は次の表のとおりです(土木工事施工管理基準の道路土工)。

土の種類路体路床・構造物の取付け部
砂質土締固め度90%以上(A・B法)締固め度95%以上(A・B法)、または90%以上(C・D・E法)
粘性土空気間隙率2〜10%、または飽和度85〜95%空気間隙率2〜8%

試験は、路体では1,000m3に1回(5,000m3未満の工事では3回以上)の割合で行います。

路床と構造物の取付け部では、500m3に1回(1,500m3未満の工事では3回以上)の割合です。1回の試験では3か所を測り、3か所のうち最も低い値で判定します。

RI計器で測る場合は、1日の1層の施工面積をもとに管理単位(1,500m2が標準)を決め、管理単位ごとの平均値で判定する必要があります。

盛土の安定計算も、盛土が十分に締め固められていることを前提にしている

盛土の安定計算は、盛土が設計どおりに締め固められていることを前提にしています。

現場の締固めが足りないと、盛土の強さが設計で見込んだ値に届かず、計算で確かめた安全率が実際には確保されないおそれがあります。

なお、盛土のり面の円弧すべりの安定計算は、次の計算ツールで行うことができます。

段切りをする盛土の土量は、横断図に段切りの形を描いて求める

現地盤に段切りをすると、段の部分を削る土と、削った部分を埋める盛土が増加します。

土量計算と、土量の変化率を使った計算は、次の計算ツールで行うことができます。

よくある質問

段切りと小段の違いは何ですか?

小段は点検や排水のために法面に設けられる段のこと

段切りとは原地盤に付ける段のことで盛土の滑動を抑止するために設けられます。

小段とは盛土や切土ののり面に付ける段のことで、排水や点検のために使用されます。

原地盤の勾配が15度より緩ければ、段切りはしなくてよいですか?

原地盤の勾配が15度(約1:4)より緩い場合は、原則として段切りは求められません。

ただし、谷地形などで地下水位が高くなる所では、勾配が緩くても段切りをすることが望ましいとされています(盛土等防災マニュアル)。

締固め度が基準に届かなかったときは、どうしますか?

締固め度が基準に届かなかった範囲は、原因を確かめてから締め固め直しましょう。

水分が多すぎる・少なすぎる場合は、曝気や散水で含水比を最適含水比付近に調整してから締め固めましょう。

まとめ

以上。本記事では、段切りが必要になる原地盤の勾配と、段切りの寸法・排水勾配について解説しました。

本記事のまとめは以下のとおりです。

  • 段切りとは、傾いた原地盤を階段状に切ってから盛土をする方法のこと
  • 原地盤の勾配がおおむね15度(約1:4)以上なら、原則として段切りが必要
  • 段切りの寸法は高さ0.5m以上・幅1.0m以上、段切り面の排水勾配はのり尻の方向へ3〜5%程度が目安
  • 盛土は、おおむね30cm以下の層ごとに、最適含水比に近い水分で締め固める
  • 締固め管理には品質規定方式と工法規定方式があり、締固め度などの基準値は自治体と発注者によって異なる

宅地造成の盛土では、段切りの寸法と締固めの基準値は自治体の技術的基準で決まります。

設計や申請の前に、申請先の自治体の基準を確かめましょう。

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この記事を書いた人

土質 太郎のアバター 土質 太郎 地盤技術者

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