【解説】擁壁とブロック塀の違いとは?|ブロック塀で土を留めてはいけない理由

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擁壁とブロック塀は、何が違うのか知りたい

土地の境にあるブロックの壁が、擁壁なのかブロック塀なのか見分けたい

ブロック塀で土を留めてもよいのか確かめたい

高低差のある土地の境には、コンクリートやブロックの壁がよく設けられています。

しかし擁壁とブロック塀は、見た目が似ていても、役割と造りが異なる構造物です。

ブロック塀で土を留めると、ブロック塀は背面の土に押されて、傾いたり倒れたりするおそれがあります。

そこでこの記事では、擁壁とブロック塀の違いと見分け方について解説します。

結論から申しますと、擁壁とは土を支える壁のことで、ブロック塀とは敷地を囲う塀のことです。

ブロック塀は土を支える造りではないので、ブロック塀で土を留めないようにしましょう。

目次
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土質 太郎

建設コンサルタントに長年従事しており、宅地造成の地盤分野に特化した情報を発信しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士

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【結論】擁壁とは土を支える壁のこと、ブロック塀とは敷地を囲う塀のこと

擁壁とブロック塀の主な違いは、次の表のとおりです。

項目擁壁ブロック塀
役割高低差のある土地で、高い側の土が崩れないように支える敷地の境で敷地を囲い、目隠しや防犯の役目を持つ
主に受ける力背面の土の土圧と、土の中の水の水圧風の力と地震の力
壁の両側の地面背面の地面が高い両側の地面がほぼ同じ高さ
主な造り鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造・練積み造(間知ブロック積みなど)補強コンクリートブロック造(空洞のあるブロックに鉄筋を通して積む)
主な法令盛土規制法・建築基準法・自治体のがけ条例建築基準法

擁壁とブロック塀の断面の違いは、次の図のとおりです。

擁壁は高い側の土を支え、背面の水を水抜き穴から抜く。ブロック塀は両側の地面がそろった所に建てる。ブロック塀で土を留めると、土圧を受けて傾く

擁壁は、背面の土から受ける土圧を支える造りになっています。一方で、ブロック塀は、両側の地面がそろった所で、風や地震の力を受け止める造りになっています。

そのため、土を支える必要がある所には、ブロック塀ではなく擁壁を設けましょう。

擁壁とは:高低差のある土地で、高い側の土が崩れないように支える壁のこと

練積み(間知ブロック)式擁壁

擁壁とは、高低差のある土地で、高い側の土が崩れないように支える壁のことです。

擁壁は、背面の土から、壁を前へ押し出そうとする力(土圧)を受けます。また、雨水が背面の土にしみ込むと、水の圧力(水圧)も受けます。

そのため、擁壁には、背面の水を抜く水抜き穴と、水を集めて水抜き穴へ導く透水層が設けられています。

擁壁の主な造りは、次の表のとおりです。

擁壁の造り主な形見た目の特徴
鉄筋コンクリート造L型擁壁・逆T型擁壁など壁面が垂直に近い、平らなコンクリートの壁
無筋コンクリート造重力式擁壁厚みのある台形のコンクリートの壁
練積み造間知ブロック積み擁壁・間知石積み擁壁間知ブロックや石を斜めに傾けて積んだ壁

宅地造成では、このほかに、国土交通大臣が認定した擁壁(工場で造るプレキャストの擁壁など)も使われています。

ブロック塀とは:敷地の境で、敷地を囲う塀のこと

ブロック塀は敷地を囲うことが目的で、土の圧力に耐えられるように設計されていない

ブロック塀とは、敷地の境に建てて、目隠しや防犯のために敷地を囲うコンクリートブロックの塀のことです。

空洞のあるコンクリートブロックに鉄筋を通して積んだ塀のことを、補強コンクリートブロック造の塀と呼びます。

ブロック塀の造りの主な決まりは、次の表のとおりです(建築基準法施行令第62条の8)。

項目ブロック塀の造りの決まり
塀の高さ2.2m以下
壁の厚さ15cm以上(高さ2m以下の塀は10cm以上)
鉄筋径9mm以上の鉄筋を、壁の中に縦横80cm以下の間隔で入れる(壁の上端・基礎・端・隅にも入れる)
控壁長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突き出した控壁を設ける(高さ1.2m以下の塀を除く)
基礎基礎の丈は35cm以上、根入れの深さは30cm以上(高さ1.2m以下の塀を除く)

擁壁とブロック塀の見分け方

擁壁とブロック塀は、次の表の3つの点で見分けることができます。

見るところ擁壁の場合ブロック塀の場合
壁の両側の地面片側(背面)の地面が高く、壁が高い側の土を支えている両側の地面がほぼ同じ高さ
壁の下のほう背面の水を抜く水抜き穴が並んでいる両側の地面へ水が流れるので、水抜き穴は要らない
壁の造りコンクリートの壁か、間知ブロックや石を斜めに傾けて積んだ壁表面が横約40cm・縦約20cmのブロックを、垂直に積んだ壁

もし自分が購入を検討している土地にブロック塀で土を止めている箇所があれば、専門家に点検を依頼しましょう。

ブロック塀で土を留めてはいけない3つの理由

ブロック塀で土を留めてはいけない理由は、次の3つです。

  • ブロック塀は、土圧に耐える擁壁の性能を満たさない
  • ブロック塀で土を留めると、背面の水の圧力も受ける
  • ブロック塀で土を留めた壁は、宅地造成の擁壁として扱われない

ブロック塀は、土圧に耐える擁壁の性能を満たさない

1つ目の理由は、ブロック塀が、土圧に耐える擁壁の性能を満たさないからです。

土圧は、風や地震の力とは異なり、壁にいつもかかり続けます。そのため、ブロック塀で土を留めると、ブロック塀は少しずつ傾いたり、ふくらんだりして、やがて倒れるおそれがあります。

ブロック塀は重いので、倒れると、通行人や隣の家に大きな被害を与えるおそれがあります。

ブロック塀で土を留めると、背面の水の圧力も受ける

2つ目の理由は、ブロック塀で土を留めると、背面の土にたまった雨水の水圧が、土圧に加わるからです。

擁壁は、水抜き穴と透水層で背面の水を抜き、水圧を抑えています。一方で、ブロック塀で土を留めた壁は、雨のたびに水圧を受けます。

また、ブロックは水を通しやすいので、ブロック塀の中の鉄筋が傷みやすくなります。

ブロック塀で土を留めた壁は、宅地造成の擁壁として扱われない

3つ目の理由は、ブロック塀の造りが、宅地造成の擁壁の造りに当たらないからです。

宅地造成で崖面に設ける擁壁の主な造りは、鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造・練積み造です(盛土規制法施行令第8条)。

そのため、ブロック塀で土を留めた土地に家を建てるときは、高低差によっては、擁壁の造り直しを求められる場合があります。

なお、高低差が小さい所でブロックを土留めに使えるかは、自治体によって扱いが異なります。小さなブロック塀を設けたい場合は、計画の前に自治体の建築指導の窓口に確かめましょう。

擁壁とブロック塀は、法令上の扱いも異なる

擁壁の造りと手続きには、主に次の3つの決まりが関わります。

決まり擁壁に関わる中身
盛土規制法許可を受ける宅地造成で、盛土で高さ1mを超える崖、切土で高さ2mを超える崖、盛土と切土を同時にして高さ2mを超える崖ができるときは、原則として崖面を擁壁で覆う(盛土規制法施行令第8条、盛土等防災マニュアル)
建築基準法高さが2mを超える擁壁は工作物になり、原則として確認申請が必要(建築基準法第88条、同法施行令第138条)
がけ条例がけの近くに家を建てるときに、擁壁を設けることや、家をがけから離すことを求められる場合がある(自治体の条例)

擁壁の上にブロック塀を建てるときの注意点

擁壁の上にブロック塀を建てるときは、ブロック塀の重さと、ブロック塀が受ける風や地震の力を見込んで、擁壁を設計しましょう。

ブロック塀が受ける力は、擁壁の上端(天端)にかかり、擁壁を前へ倒そうとします。

すでにある擁壁の上にブロック塀を建てるときは、擁壁がブロック塀の荷重を見込んで設計されているかを、図面や計算書で確かめましょう。

また、擁壁の造りによっては、擁壁の上がブロック塀の基礎として認められないことがあります。例えば、間知ブロック積みの擁壁や石積みがこれに該当します。

よくある質問

間知ブロック積みの擁壁と、ブロック塀は同じものですか?

間知ブロック積みの擁壁とブロック塀は、同じ「ブロック」という名前がついていますが全く別のものです。

間知ブロック積みの擁壁とは、間知ブロックを斜めに積み、コンクリートで一体にした練積み造の擁壁のことです。練積み造の擁壁に使うブロックや石の控え長さ(奥行き)は、30cm以上です(盛土規制法施行令第10条)。

一方で、ブロック塀とは、厚さ10〜15cmほどの空洞のあるブロックに鉄筋を通して、垂直に積んだ塀のことです。

水抜き穴のない擁壁は、危ないですか?

水抜き穴のない擁壁は、背面に水がたまりやすく、水圧を受けて傾いたりひび割れたりするおそれがあります。

確認や許可を受けて造る擁壁には、水抜き穴が必要です(建築基準法施行令第142条、盛土規制法施行令第12条)。

水抜き穴が見当たらない擁壁や、水抜き穴が土や草でふさがっている擁壁は、専門家に点検を依頼しましょう。

高低差のある土地を買うときは、境の壁の何を確かめればよいですか?

高低差のある土地を買うときは、境の壁について、次の3つを確かめましょう。

  • 境の壁が、擁壁かブロック塀か
  • 擁壁なら、確認や検査を受けた記録(検査済証など)があるか
  • 壁に傾き・ふくらみ・ひび割れが無いか、水抜き穴がふさがっていないか

ブロック塀で土を留めている土地では、家を建てるときに、擁壁の造り直しを求められる場合があります。土地を買う前に、自治体の窓口に確かめましょう。

まとめ

以上。本記事では、擁壁とブロック塀の違いと見分け方について解説しました。

本記事のまとめは以下のとおりです。

  • 擁壁とは土を支える壁のこと、ブロック塀とは敷地を囲う塀のこと
  • 擁壁は土圧と水圧を受け、ブロック塀は風と地震の力を受ける
  • 擁壁とブロック塀は、壁の両側の地面の高さと、水抜き穴があるかで見分ける
  • ブロック塀は土圧に耐える擁壁の性能を満たさないので、ブロック塀で土を留めない
  • 擁壁の上にブロック塀を建てるときは、塀の重さと力を見込んで擁壁を設計する

高低差のある土地で土を支えるときは、ブロック塀ではなく擁壁を設けましょう。

擁壁とブロック塀の扱いは自治体によって異なることがあるので、計画の前に申請先の自治体に確かめましょう。

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この記事を書いた人

土質 太郎のアバター 土質 太郎 地盤技術者

建設コンサルタントにて土構造物にかかわる設計業務に長年従事しており、宅地造成の地盤分野に特化した情報を発信しています。

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