側溝の流量計算の手順を、計算例で確かめたい
U字溝の大きさを決めるときに、水深や余裕をどう取ればよいか分からない
側溝の流量計算をエクセルで組みたい
宅地造成や開発行為では、敷地に降った雨を側溝で集めて、放流先まで流す計画が求められます。
そこでこの記事では、側溝の流量計算の手順、U字溝の計算例、自治体ごとの水深と余裕の取り方、粗度係数と流速の目安、U字溝の流下能力の早見表、エクセルでの計算方法を解説します。
結論から申しますと、側溝の流量計算とは、合理式で求めた計画雨水量と、マニング式で求めた側溝の流下能力を比べる計算のことです。
【結論】側溝の流量計算は計画雨水量と側溝の流下能力を比べる

側溝の流量計算では、次の2つの量を求めて比べます。
| 求める量 | 記号 | 求める式 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 計画雨水量 | Q1 | 合理式 | 側溝に流れ込む雨水の量 |
| 側溝の流下能力 | Q2 | マニング式 | 側溝が流すことのできる水の量 |
Q2がQ1を上回れば、側溝の大きさは足ります。ただし、側溝の流下能力は、満水の状態ではなく、余裕を残した水深で求めます。余裕の取り方は自治体ごとに異なるので、後の章で整理します。
側溝の流量計算の手順は5つの段階
側溝の流量計算は、次の5つの段階で進めます。
- 計画雨水量Q1を合理式で求める
- 側溝の内寸と、計算に使う水深を決める
- 通水断面積A・潤辺P・径深Rを求める
- マニング式で流速Vと流下能力Q2を求める
- Q1とQ2を比べて判定する
段階1:計画雨水量Q1を合理式で求める
計画雨水量Q1は、合理式で求めます。豊中市の盛土規制法の排水施設の資料では、合理式が次のように書かれています。
Q1=1/360・C・I・A
- Q1:計画雨水量(m3/s)
- C:流出係数
- I:降雨強度(mm/hr)
- A:集水面積(ha)
流出係数Cと降雨強度Iは、地域や土地の使い方によって異なります。申請先の自治体の基準で値を確かめましょう。
合理式の計画雨水量は、次の計算ツールで計算することができます。

段階2:側溝の内寸と計算に使う水深を決める
側溝の内寸は、内側の幅Bと深さHです。計算に使う水深hは、深さHに自治体の定める割合を掛けて決めます。例えば、8割水深で計算する場合は、h=0.8Hです。
段階3:通水断面積A・潤辺P・径深Rを求める
長方形の断面の側溝では、通水断面積A・潤辺P・径深Rを次の式で求めます。
| 記号 | 名前 | 長方形の断面での式 |
|---|---|---|
| A | 通水断面積 | B×h |
| P | 潤辺 | B+2h |
| R | 径深 | A/P |
潤辺Pとは、水が側溝の壁や底に触れている部分の長さのことです。長方形の断面では、底の幅Bと両側の壁の水深hの2つ分を足します。
段階4:マニング式で流速Vと流下能力Q2を求める
流速Vはマニング式で求め、流下能力Q2は流速Vに通水断面積Aを掛けて求めます。
V=1/n・R2/3・I1/2
Q2=A・V
- V:流速(m/s)
- n:粗度係数
- R:径深(m)
- I:側溝の勾配(1%なら0.01)
マニング式のIは、合理式の降雨強度Iとは別の量です。マニング式のIには、側溝の勾配を小数で入れましょう。
段階5:Q1とQ2を比べて判定する
流下能力Q2が計画雨水量Q1を上回れば、側溝の大きさは足ります。Q2が足りない場合は、側溝を大きくするか、勾配を見直すか、集水の区域を分けて検討します。あわせて、流速Vが許容の範囲に入っているかも確かめましょう。
側溝の流量計算の例(内幅300mm・深さ300mmのU字溝)
例えば、集水面積0.5haの雨水を、内幅300mm・深さ300mm・勾配1%の側溝で流す場合を計算してみましょう。条件は次のとおりです。
- 流出係数C=0.9、降雨強度I=120mm/hr(長浜市の雨水排水の基準に書かれている値を、例として使います)
- 粗度係数n=0.013(コンクリート二次製品)
- 水深は8割水深
| 段階 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 計画雨水量Q1 | 1/360×0.9×120×0.5 | 0.150m3/s |
| 水深h | 0.300×0.8 | 0.240m |
| 通水断面積A | 0.300×0.240 | 0.0720m2 |
| 潤辺P | 0.300+2×0.240 | 0.780m |
| 径深R | 0.0720÷0.780 | 0.0923m |
| 流速V | 1/0.013×0.09232/3×0.011/2 | 1.57m/s |
| 流下能力Q2 | 0.0720×1.57 | 0.113m3/s |
流下能力Q2=0.113m3/sは、計画雨水量Q1=0.150m3/sに足りません。そのため、内幅300mm・深さ300mmの側溝では大きさが足りません。
同じ条件で内幅400mm・深さ400mmの側溝にすると、流下能力Q2は0.244m3/sになり、計画雨水量Q1を上回ります。流速Vは1.90m/sで、後の章で示す流速の範囲にも入ります。
なお、同じマニング式で、神戸市の流量計算書の記載例(内幅0.300m・高さ0.300m・9割水深・勾配1.00%・粗度係数0.013)を計算すると、表に書かれた流速1.618m/s・流量0.1310m3/sと同じ値になります。
側溝の水深と余裕の取り方は自治体によって異なる
側溝の流下能力を求める水深と、計画雨水量に対する余裕の取り方は、自治体によって異なります。公開されている自治体の資料では、次のように定められています。
| 自治体の資料 | 水深と余裕の取り方 |
|---|---|
| 豊中市(排水施設について) | 開渠は8割水深で検討し、Q2>Q1であること |
| 神戸市(流量計算書の記載例) | 開水路(オープンU側溝)は8割水深、矩形渠(LU・蓋付側溝)は9割水深、管渠は満流。余裕率は120%以上 |
| 宝塚市(放流先水路・側溝等の排水能力の検討) | 開発区域内の排水路はQ1≦0.8×Q2(20%の余裕)。放流する水路は下水道の基準で10%の余裕 |
| 長浜市(雨水排水の基準) | 計画雨水量の通水断面が、内空高さの90%以下 |
表のように、8割水深で流下能力を求める方法と、流下能力に余裕率を掛ける方法があります。どちらの方法を使うかは申請先によって異なるので、計算を始める前に申請先の自治体の基準を確かめましょう。
粗度係数nは側溝の材料で選ぶ
粗度係数nとは、水路の壁や底の粗さを表す値のことです。粗度係数nが大きいほど流速は遅くなり、流下能力は小さくなります。公開されている自治体の資料では、側溝と管の粗度係数が次のように示されています。
| 材料 | 粗度係数n | 出典 |
|---|---|---|
| 二次製品の側溝(U字溝など) | 0.013 | 豊中市・長浜市 |
| 現場打ち側溝 | 0.014 | 豊中市 |
| コンクリート三面張 | 0.015~0.02 | 長浜市 |
| ヒューム管・コンクリート管渠 | 0.013 | 豊中市・長浜市・宝塚市 |
| 塩化ビニル管 | 0.010 | 豊中市・長浜市 |
ただし、同じコンクリート面でも、宝塚市の資料には「都市計画法許可対象における開発区域内は、0.015」と書かれています。粗度係数nも、申請先の基準の値を使いましょう。
側溝の流速は速すぎても遅すぎてもいけない
側溝の流速は、速すぎると側溝の壁や底が削れ、遅すぎると土砂がたまります。出雲市の雨水排水の資料では、開渠の流速について次のように書かれています。
「流速は、流水による異常な排水路壁盤の摩耗、土砂堆積が生じない流速とする。流速は一般に 0.6m/秒~3.0m/秒とする。」(出雲市の雨水排水の資料)
また、福島市の開発行為の要綱では、雨水管渠の流速を「0.8ⅿ/秒〜最大流速 3.0ⅿ/秒となるように設定する」と定められています。流下能力が足りていても、流速が範囲を外れる場合は、勾配や側溝の大きさを見直しましょう。
U字溝の流下能力の早見表
内側が長方形の側溝の流下能力を、次の条件で計算した早見表です。表の数値は流下能力Q2(m3/s)で、かっこの中は流速V(m/s)です。
- 粗度係数n=0.013(コンクリート二次製品)
- 8割水深(水深h=0.8H)
- 内幅Bと深さHが同じ長方形の断面
| 内幅×深さ | 勾配0.5% | 勾配1% | 勾配2% | 勾配3% |
|---|---|---|---|---|
| 240×240mm | 0.044(0.96) | 0.062(1.35) | 0.088(1.91) | 0.108(2.35) |
| 300×300mm | 0.080(1.11) | 0.113(1.57) | 0.160(2.22) | 0.196(2.72) |
| 400×400mm | 0.172(1.35) | 0.244(1.90) | 0.345(2.69) | 0.422(3.30)※ |
| 500×500mm | 0.312(1.56) | 0.442(2.21) | 0.625(3.12)※ | 0.765(3.83)※ |
※の欄は、流速Vが3.0m/sを超えています。上の章で示した流速の範囲を超えるので、勾配を緩くするなどの見直しが必要です。
なお、市販のU形側溝には、内側の壁が上に向かって少し開いた形の製品があります。また、側溝のメーカーは、製品ごとの流速・流量表(8割水深など)を公開しています。使う製品が決まったら、製品の内寸か、メーカーの流速・流量表で流下能力を確かめましょう。
L形側溝とヒューム管の流量計算
L形側溝は路面の勾配でできる三角形の断面で計算する
L形側溝では、道路の横断勾配とL形側溝の底でできる、三角形に近い断面を水が流れます。通水断面積Aと潤辺Pをその形で求めれば、マニング式で流速と流下能力を求める手順はU字溝と同じです。L形側溝の水をためてよい幅は道路の管理者の基準で異なるので、道路の管理者の基準を確かめましょう。
ヒューム管は満流で計算する例が多い
ヒューム管などの管渠は、神戸市の流量計算書の記載例では満流で計算しています。円形の管が満流のとき、径深Rは内径Dの4分の1(R=D/4)になります。
一方で、豊中市の資料では、暗渠(パイプ)の流速をクッターの公式で求めると書かれています。管の流量計算の式も、申請先の基準で確かめましょう。
側溝の流量計算をエクセルでする方法
側溝の流量計算は、エクセルの1行に式を入れると計算することができます。例えば、次の表のようにセルを置きます。
| セル | 入れるもの | 例 |
|---|---|---|
| B2 | 内幅B(m) | 0.3 |
| C2 | 深さH(m) | 0.3 |
| D2 | 水深の割合 | 0.8 |
| E2 | 勾配I(小数) | 0.01 |
| F2 | 粗度係数n | 0.013 |
| G2 | 流速V(m/s) | =1/F2*((B2*C2*D2)/(B2+2*C2*D2))^(2/3)*SQRT(E2) |
| H2 | 流下能力Q2(m3/s) | =B2*C2*D2*G2 |
表の例の値を入れると、G2は1.57、H2は0.113になり、上の計算例と同じ値になります。行を下に写せば、側溝の大きさや勾配を変えた比較表を作ることができます。
台形やU字の断面、限界水深・余裕高まで確かめたい場合は、次の計算ツールで計算することができます。

まとめ

側溝の流量計算とは、合理式で求めた計画雨水量Q1と、マニング式で求めた側溝の流下能力Q2を比べる計算のことです。
- 計画雨水量はQ1=1/360・C・I・A、流速はV=1/n・R2/3・I1/2、流下能力はQ2=A・Vで求める
- 水深(8割水深・9割水深)と余裕(余裕率・内空高さの90%)の取り方は、自治体によって異なる
- 粗度係数nは、二次製品の側溝で0.013を使う資料が多いが、申請先の値を使う
- 流速は、開渠で一般に0.6~3.0m/sの範囲に収める
- 製品が決まったら、メーカーの流速・流量表でも確かめる
側溝の大きさを決める前に、申請先の自治体の開発許可や盛土規制法の技術基準を手に入れて、水深・余裕・粗度係数の値を確かめてみてください。









