土質試験とは、地盤や盛土材料の性質を数値で確認し、設計に必要な土質定数を求めるための試験です。
粒度試験や締固め試験、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、圧密試験などがあり、試験ごとに確認できる内容や使用する設計対象が異なります。
たとえば、粒度試験は土種区分1種~3種の基本的な判定材料となり、土圧や基礎地盤の摩擦係数など、多くの設計に使用されます。
必要な試験によってサンプリング方法やボーリング口径も変わるため、見積もりやボーリング計画の段階で試験項目を決める必要があります。
本記事では、宅地造成で使う主な土質試験について、サンプリング方法や設計での使い方までわかりやすく解説します。
土質試験とは

土質試験とは、採取した土の性質や強度を室内で確認する試験です。
土は見た目が似ていても、粒径の構成や含水比、締まりやすさ、せん断強度などが異なります。
土質試験によってこれらを数値化することで、土質区分の判定や設計定数の設定が可能になります。
宅地造成では、主に次の設計や検討に土質試験の結果を使用します。
- 盛土材料の適否
- 擁壁や盛土に作用する土圧
- 基礎地盤の摩擦係数
- 盛土・切土の安定計算
- 軟弱地盤の圧密沈下
- 盛土の締固め管理
ただし、すべての設計で同じ土質試験を行うわけではありません。
必要な設計定数や対象土質に応じて試験を選び、試験に適した方法で試料を採取する必要があります。
宅地造成で土質試験が必要な理由

宅地造成では、盛土や地盤の性質を見た目だけで正確に把握できません。
土質試験を行うことで、土の粒度や強度、締固め特性、圧密特性などを数値で確認できます。
特に粒度試験は、土質を第1種~第3種に区分する基本資料となり、土圧や基礎地盤の摩擦係数など、複数の設計に使用されます。
また、盛土を施工する場合は、締固め試験によって最大乾燥密度と最適含水比を求め、現場の締固め管理に反映します。
軟弱な粘性土地盤では、一軸圧縮試験や三軸圧縮試験によって強度を確認し、盛土の安定計算や地盤改良の検討に使用します。
圧密沈下が想定される場合は、圧密試験によって沈下量や沈下時間を求める必要があります。
このように、土質試験は単に土の種類を確認するだけでなく、宅地造成の安全性や施工方法を決めるために必要です。
宅地造成で使う主な土質試験
土質試験・サンプリング方法・設計用途の一覧表
宅地造成で使用する主な土質試験と、試料の採取方法、設計用途を以下にまとめます。
| 土質試験 | 主な対象土 | サンプリング方法 | 主に分かること | 主な設計・検討用途 |
|---|---|---|---|---|
| 含水比試験 | 粘性土、砂質土、盛土材料 | 標準貫入試験で採取した試料、掘削土、盛土材料など | 土に含まれる水分量 | 盛土材料の評価、締固め時の含水状態の確認 |
| 土粒子の密度試験 | 粘性土、砂質土、盛土材料 | 乱した試料 | 土粒子自体の密度 | 間隙比、飽和度、締固め度などの算定 |
| 粒度試験 | 礫質土、砂質土、粘性土 | 標準貫入試験で採取した試料、掘削土、盛土材料など | 礫・砂・シルト・粘土の構成割合 | 第1種~第3種の土質区分、土圧、基礎地盤の摩擦係数、盛土材料の評価、液状化判定 |
| 液性限界・塑性限界試験 | 細粒分を含む土 | 乱した試料 | 含水量の変化による細粒土の性質 | 土質分類、盛土材料の評価、施工性の確認 |
| 締固め試験 | 盛土材料、現地発生土 | 土取場や掘削箇所から採取した代表的な乱した試料 | 最大乾燥密度、最適含水比 | 盛土の施工方法や締固め管理値の設定 |
| CBR試験 | 路床材料 | 路床予定材から採取した乱した試料を締め固めて供試体を作製 | 路床土の支持力 | 宅地内道路の舗装構成や舗装厚の検討 |
| 一軸圧縮試験 | 供試体として自立できる粘性土 | シンウォールサンプラーなどで採取した乱さない試料 | 一軸圧縮強さ、非排水せん断強さ | 盛土の安定解析、軟弱地盤対策、地盤改良前後の強度確認 |
| 三軸圧縮試験 | 自立できない粘性土、砂質土 | 対象土質に適したサンプラーで採取した乱さない試料 | 粘着力、せん断抵抗角、排水条件に応じたせん断強度 | 盛土・切土の安定解析、土圧、基礎地盤の支持力などに用いる強度定数の設定 |
| 圧密試験 | 軟弱な粘性土 | シンウォールサンプラーなどで採取した乱さない試料 | 圧密降伏応力、圧縮指数、圧密係数 | 盛土荷重による圧密沈下量と沈下時間の検討 |
物理試験や締固め試験は、基本的に乱した試料で実施できます。
一方、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、圧密試験では、地盤内の状態を保った乱さない試料が必要です。
必要な試験によって使用するサンプラーやボーリング口径が変わるため、土質試験の内容は見積もりやボーリング計画を作成する段階で決める必要があります。
主な土質試験で分かること
宅地造成で使用する土質試験は、試験ごとに対象となる土や設計用途が異なります。
設計に必要な数値を明確にしたうえで、試験方法とサンプリング方法を決めることが重要です。
粒度試験は土質区分と設計定数の基本資料になる
粒度試験では、土に含まれる礫・砂・シルト・粘土の割合を調べます。
宅地造成では、第1種から第3種までの土質区分を判定する基本資料として使用されます。
土質区分によって設計に用いる数値が変わるため、粒度試験は次のような設計に関係します。
- 擁壁や盛土に作用する土圧
- 基礎地盤と擁壁底版の摩擦係数
- 切土の勾配決定
- 盛土材料としての適否
- 液状化判定に用いる細粒分含有率
粒度試験は乱した試料で実施できるため、標準貫入試験で採取した試料や掘削土、盛土予定材などを使用できます。
締固め試験は盛土の施工管理に使用する
締固め試験では、盛土材料の最大乾燥密度と最適含水比を求めます。
最大乾燥密度は、現場で盛土が十分に締め固められているかを確認する基準になります。
最適含水比は、土を効率よく締め固められる含水状態を示す数値です。
現場では、締固め試験で求めた最大乾燥密度に対する割合から締固め度を算出し、盛土の品質を管理します。
試験には、土取場の材料や現地発生土など、実際に盛土へ使用する材料を代表する乱した試料が必要です。
一軸圧縮試験は自立する粘性土の強度を求める
一軸圧縮試験は、円柱状の供試体として自立できる粘性土を対象とした強度試験です。
供試体へ軸方向の荷重を加え、一軸圧縮強さを求めます。
一軸圧縮強さから非排水せん断強さを設定し、軟弱な粘性土地盤上に盛土する場合の安定計算などに使用します。
主な用途は次のとおりです。
- 盛土の円弧すべり解析
- 軟弱地盤対策の検討
- 地盤改良前の強度確認
- 地盤改良後の改良体強度の確認
自然地盤の強度を適切に求めるには、シンウォールサンプラーなどで採取した乱さない試料が必要です。
三軸圧縮試験は自立しない粘性土や砂質土に使用する
三軸圧縮試験は、自立できない軟弱な粘性土や砂質土などのせん断強度を求める試験です。
供試体の周囲から圧力を加えた状態で軸方向に荷重を加えるため、一軸圧縮試験では試験できない土にも適用できます。
試験条件に応じて、粘着力やせん断抵抗角などの強度定数を求めます。
これらの強度定数は、次のような設計に使用します。
- 盛土や切土の安定計算
- 擁壁に作用する土圧の計算
- 基礎地盤の支持力検討
砂質土は採取時に乱れやすいため、凍結サンプリングなど対象地盤や試験目的に適したサンプリング方法を計画する必要があります。
また、砂質土の場合は大崎式などのN値からΦを算出することも多いです。
圧密試験は軟弱地盤の沈下を検討する
圧密試験は、軟弱な粘性土に荷重が加わったときの沈下特性を調べる試験です。
試験結果から、圧密降伏応力や圧縮指数、圧密係数などを求めます。
これらの数値を使用することで、盛土や構造物の荷重によって発生する圧密沈下量と、沈下に要する時間を検討できます。
圧密試験の主な用途は次のとおりです。
- 盛土による圧密沈下量の計算
- 圧密沈下に要する期間の計算
- プレロード工法や載荷盛土の検討
- 軟弱地盤対策の必要性の確認
圧密試験では地盤内の土の構造を保つ必要があるため、シンウォールサンプラーなどで採取した乱さない試料を使用します。
土質試験はボーリング計画の前に決める

土質試験は、ボーリングで試料を採取した後に決めるものではありません。
試験内容によって必要な試料の状態や採取方法が異なり、使用するサンプラーやボーリング口径にも影響するためです。
設計で必要となる土質定数を整理し、実施する試験とサンプリング方法を決めたうえで、ボーリング計画と見積もりを作成する必要があります。
試験ごとにサンプリング方法が異なる
粒度試験や含水比試験などの物理試験は、基本的に乱した試料で実施できます。
標準貫入試験で採取した試料や掘削土を利用できるため、一般的なボーリング調査とあわせて計画しやすい試験です。
一方、一軸圧縮試験や圧密試験では、地盤内の土の構造や含水状態をできるだけ保った乱さない試料が必要です。
三軸圧縮試験でも、対象となる土質や試験条件に応じた方法で試料を採取しなければなりません。
| 試験の例 | 必要な試料 | 主な採取方法 |
|---|---|---|
| 粒度試験・含水比試験 | 乱した試料 | 標準貫入試験試料、掘削土など |
| 締固め試験・CBR試験 | 盛土材料を代表する乱した試料 | 土取場や掘削箇所から採取 |
| 一軸圧縮試験・圧密試験 | 乱さない粘性土試料 | シンウォールサンプラーなど |
| 三軸圧縮試験 | 土質と試験条件に適した試料 | 対象土質に応じたサンプラー |
同じ地層を対象とする場合でも、実施する試験によって必要な試料の品質は異なります。
そのため、試料を採取してから試験を決めるのではなく、設計用途から逆算して採取方法を選ぶことが重要です。
サンプラーによってボーリング口径が変わる
乱さない試料を採取する場合は、使用するサンプラーを挿入できるボーリング孔径を確保する必要があります。
一般的な標準貫入試験だけを想定した孔径では、計画したサンプラーを使用できない場合があります。
ボーリング口径が大きくなると、掘削作業やケーシング、泥水管理などの条件も変わり、調査費用に影響します。
特に、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、圧密試験を予定している場合は、次の内容を事前に確認しなければなりません。
- 対象となる地層と採取深度
- 必要な供試体の寸法と本数
- 使用するサンプラー
- サンプラーに対応するボーリング口径
- 試料採取後の運搬方法と保管条件
試験名だけを見積書へ記載するのではなく、試料採取まで含めて調査仕様を決める必要があります。
試験の追加が再調査や見積もり変更につながる

ボーリング後に試験を追加しても、必要な試料が採取されていなければ実施できません。
たとえば、標準貫入試験で採取した乱した試料しか残っていない場合、その試料を使って一軸圧縮試験や圧密試験を行うことはできません。
既存のボーリング孔が使用できない場合は、新たにボーリングを行い、対象地層から乱さない試料を採取する必要があります。
また、調査中に試験を追加できる場合でも、サンプラーやボーリング口径の変更によって見積もり金額が変わることがあります。
再調査や設計工程の遅れを防ぐには、ボーリング計画の作成前に次の流れで整理することが重要です。
- 宅地造成で必要となる設計や検討項目を確認する
- 設計に必要な土質定数を整理する
- 土質定数を求めるための試験を決める
- 各試験に必要なサンプリング方法を決める
- サンプラーに対応したボーリング口径で見積もる
土質試験とサンプリングをボーリング計画から切り離さず、一体として計画することで、追加費用や手戻りを抑えられます。
よくある質問

宅地造成ではどの土質試験が必要ですか?
必要な土質試験は、地盤条件や計画する構造物、設計で求める土質定数によって異なります。
宅地造成で主に使用する土質試験は、次のとおりです。
- 土質区分や設計定数の設定:粒度試験
- 盛土の施工管理:締固め試験
- 自立する粘性土の強度確認:一軸圧縮試験
- 自立しない粘性土や砂質土の強度確認:三軸圧縮試験
- 軟弱な粘性土の沈下検討:圧密試験
- 宅地内道路の舗装設計:CBR試験
すべての試験を一律に実施するのではなく、擁壁、盛土、軟弱地盤対策などの設計内容から必要な試験を選定します。
粒度試験の結果は何の設計に使いますか?
粒度試験では、土に含まれる礫・砂・シルト・粘土の割合を確認します。
宅地造成では、第1種から第3種までの土質区分を判定する基本資料となり、土質区分に応じた設計定数の設定に使用します。
主な設計用途は次のとおりです。
- 擁壁や盛土に作用する土圧
- 基礎地盤と擁壁底版の摩擦係数
- 盛土や切土の安定計算
- 盛土材料としての適否
- 液状化判定に用いる細粒分含有率
粒度試験は特定の構造物だけに使用する試験ではなく、宅地造成における多くの設計の基礎資料になります。
一軸圧縮試験と三軸圧縮試験はどう使い分けますか?
一軸圧縮試験は、円柱状の供試体として自立できる粘性土に使用します。
供試体へ側圧を加えずに圧縮し、一軸圧縮強さや非排水せん断強さを求める試験です。
三軸圧縮試験は、供試体として自立できない軟弱な粘性土や砂質土などに使用します。
供試体の周囲から圧力を加えられるため、土質や排水条件に応じて粘着力やせん断抵抗角などを求められます。
対象土質だけでなく、設計で必要となる強度定数や想定する排水条件も踏まえて試験方法を選定します。
乱した試料と乱さない試料の違いは何ですか?
乱した試料は、採取時に土の構造や密度が変化した試料です。
粒度試験や含水比試験、液性限界・塑性限界試験など、土粒子の構成や基本的な性質を調べる試験に使用できます。
乱さない試料は、地盤内の土の構造や含水状態をできるだけ保った試料です。
一軸圧縮試験や三軸圧縮試験、圧密試験など、原地盤の強度や沈下特性を確認する試験に使用します。
ただし、「乱さない試料」と呼ばれていても、採取や運搬による影響を完全になくすことはできません。
ボーリング後に土質試験を追加できますか?
粒度試験や含水比試験などは、必要な量の試料が保管されていれば追加できる場合があります。
一方、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、圧密試験では、所定の方法で採取した乱さない試料が必要です。
標準貫入試験で採取した乱した試料しか残っていない場合、これらの試験を後から追加することはできません。
また、必要なサンプラーに対してボーリング口径が不足している場合は、再ボーリングが必要です。
試験の追加による再調査や見積もり変更を防ぐため、設計に必要な土質定数を整理し、ボーリング計画の前に試験項目を決めておく必要があります。
まとめ

土質試験は、宅地造成の設計に必要な土質区分や強度、締固め特性、圧密特性を確認するために行います。
試験ごとに必要な試料やサンプリング方法が異なり、ボーリング口径や見積もりにも影響します。
そのため、必要な設計定数を整理し、ボーリング計画の前に試験項目を決めておくことが重要です。
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