宅地造成の設計では、土の内部摩擦角を適切に設定しなければなりません。
力学試験を行わない場合は、土質区分に応じて第1種土質24°、第2種土質20°、第3種土質16°を用いるのが一般的です。
ほかにも、力学試験によって直接求める方法や、標準貫入試験のN値から大崎式を用いて推定する方法があります。
この記事では、宅地造成で用いる第1種~第3種土質の内部摩擦角と、大崎式で求めた内部摩擦角を一覧表で解説します。
宅地造成で用いる内部摩擦角の一覧
宅地造成の設計において、力学試験を行わない場合に用いる内部摩擦角は、土質区分ごとに次のように定められています。
| 土質区分 | 内部摩擦角φ |
|---|---|
| 第1種土質 | 24° |
| 第2種土質 | 20° |
| 第3種土質 | 16° |
なお、土質区分は、粒度試験によって判定します。
第1種から第3種になるにつれて内部摩擦角は小さくなり、土のせん断抵抗を小さく評価する設定となります。
第1種~第3種土質の内部摩擦角を用いる場合
第1種~第3種土質の内部摩擦角は、力学試験によって強度定数を直接求めない場合に用いる標準値です。
ただし、現地の土質を確認せず、任意の区分を選択してよいわけではありません。
粒度試験などから土質区分を判定したうえで、該当する内部摩擦角を設定します。
力学試験を行わない場合に標準値を用いる
三軸圧縮試験や一面せん断試験を実施すれば、対象となる土の内部摩擦角を直接求められます。
よって、力学試験結果がある場合は、試験方法や排水条件、検討対象との整合性を確認したうえで、試験から得られた強度定数を使用します。
土質区分は粒度試験などから判定する
第1種~第3種土質の区分は、採取した試料に対して粒度試験などを実施し、土に含まれる礫分、砂分、細粒分の割合などから土質を判定します。
ボーリング柱状図の土質名や目視観察も参考になりますが、試験結果を確認して区分することが一般的です。
表の値を用いる場合は粘着力を考慮しない
第1種~第3種土質の標準値を用いる場合は、粘着力を考慮せず、内部摩擦角のみで計算するのが一般的です。
具体的には、第3種土質に粘性土が含まれる場合でも、表の値を採用する場合は、粘着力をc=0kN/m²、内部摩擦角をφ=16°として計算します。
粘性土の粘着力を考慮した円弧すべり計算などを行う場合は、表の値ではなく、一軸圧縮試験や三軸圧縮試験の結果から強度定数を設定します。
N値から内部摩擦角を推定する方法

砂質土では、標準貫入試験で得られたN値から内部摩擦角を推定できます。
宅地造成の設計では、一般的に大崎式を用いて推定します。
ただし、大崎式から求められる内部摩擦角は推定値です。
土質や地盤条件を確認したうえで、設計に採用できる値か判断する必要があります。
砂質土では大崎式を用いる
N値から内部摩擦角を推定する場合、次の大崎式を使用します。
φ=√(20N)+15
- φ:内部摩擦角(°)
- N:標準貫入試験によるN値
たとえば、N値が10の場合は、次のように計算します。
φ=√(20×10)+15
=29.1°
N値が大きくなるほど、推定される内部摩擦角も大きくなります。
ただし、N値は地盤の密度だけでなく、上載圧や粒度組成などの影響も受けます。
大崎式による推定値だけで判断せず、ボーリング柱状図や土質試験結果などもあわせて確認しましょう。
N値ごとの内部摩擦角一覧
大崎式から算出したN値ごとの内部摩擦角は、次のとおりです。
| N値 | 内部摩擦角φ | N値 | 内部摩擦角φ |
|---|---|---|---|
| 4 | 23.9° | 28 | 38.7° |
| 5 | 25.0° | 29 | 39.1° |
| 6 | 26.0° | 30 | 39.5° |
| 7 | 26.8° | 31 | 39.9° |
| 8 | 27.6° | 32 | 40.3° |
| 9 | 28.4° | 33 | 40.7° |
| 10 | 29.1° | 34 | 41.1° |
| 11 | 29.8° | 35 | 41.5° |
| 12 | 30.5° | 36 | 41.8° |
| 13 | 31.1° | 37 | 42.2° |
| 14 | 31.7° | 38 | 42.6° |
| 15 | 32.3° | 39 | 42.9° |
| 16 | 32.9° | 40 | 43.3° |
| 17 | 33.4° | 41 | 43.6° |
| 18 | 34.0° | 42 | 44.0° |
| 19 | 34.5° | 43 | 44.3° |
| 20 | 35.0° | 44 | 44.7° |
| 21 | 35.5° | 45 | 45.0° |
| 22 | 36.0° | 46 | 45.3° |
| 23 | 36.4° | 47 | 45.7° |
| 24 | 36.9° | 48 | 46.0° |
| 25 | 37.4° | 49 | 46.3° |
| 26 | 37.8° | 50 | 46.6° |
| 27 | 38.2° | ー | ー |
表の数値は、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで表示しています。
大崎式による内部摩擦角は計算上の推定値であり、表の数値をそのまま設計値として採用できるとは限りません。
自治体の技術基準などで内部摩擦角の上限が定められている場合は、その基準に従います。
大崎式は粘性土には適用できない
大崎式は、砂質土のN値から内部摩擦角を推定する式です。
粘性土のN値を大崎式へ代入して、内部摩擦角を設定することはできません。
粘性土の強度定数が必要な場合は、原則一軸圧縮試験や三軸圧縮試験の結果を用います。
N値から粘着力を推定する方法(6.25Nまたは6N)もありますが、大崎式による内部摩擦角の推定とは区別する必要があります。
内部摩擦角を設定する際の注意点

内部摩擦角は、採用する値が大きいほど土のせん断抵抗を大きく評価します。
土圧や円弧すべりの計算結果に直接影響するため、試験値や推定値を根拠なく採用してはいけません。
力学試験結果がある場合は試験値を用いる
三軸圧縮試験や一面せん断試験を実施した場合は、原則として試験結果から内部摩擦角を設定します。
ただし、試験値であれば無条件に採用できるわけではありません。
試料の乱れ、排水条件、応力状態、供試体の作製方法などを確認し、設計対象と試験条件が整合している必要があります。
盛土材の内部摩擦角を求める場合は、計画する締固め度や含水状態を再現した供試体で試験することが重要です。
内部摩擦角を過大に設定すると危険側になる
内部摩擦角を大きく設定すると、一般に主働土圧は小さくなり、円弧すべりに対する抵抗力は大きくなります。
実際の地盤より大きな内部摩擦角を採用すると、擁壁や盛土の安定性を過大に評価することになります。
土質の不均一性やN値のばらつきを確認し、局所的に大きなN値だけを用いて内部摩擦角を設定しないようにしましょう。
自治体の技術基準を確認する
宅地造成の設計では、盛土規制法に関する技術的基準だけでなく、申請先の自治体が定める技術基準や審査基準も確認します。
自治体によっては、内部摩擦角の設定方法、力学試験の実施条件、N値から推定する場合の扱いなどが示されています。
試験値や大崎式による推定値が得られていても、技術基準に採用できる値や上限が定められている場合は、その規定に従います。
設計前に申請先の基準を確認し、判断が難しい場合は審査担当者と協議したうえで内部摩擦角を設定しましょう。
よくある質問

第3種土質でも粘着力は考慮しませんか?
第1種~第3種土質の標準値を用いる場合は、第3種土質であっても粘着力を考慮しないのが一般的です。
粘着力をc=0kN/m²、内部摩擦角をφ=16°として計算します。
粘性土の粘着力を考慮する場合は、表の標準値ではなく、一軸圧縮試験や三軸圧縮試験などの結果から強度定数を設定します。
粘性土の強度定数はどのように決めますか?
円弧すべりなどの安定計算では、一軸圧縮試験または三軸圧縮試験の結果から粘性土の強度定数を設定します。
三軸圧縮試験では、検討条件に応じてCU試験やUU試験の結果を用います。
試験結果がない場合は、N値から一軸圧縮強さをqu=12.5N、粘着力をc=6.25Nとして推定する方法もあります。
ただし、この推定方法はN値が4以上の場合に用います。
N値から求めた内部摩擦角をそのまま使えますか?
大崎式から求めた内部摩擦角は、N値との相関に基づく推定値です。
土質、N値のばらつき、設計対象との整合性を確認せず、そのまま設計値として採用してはいけません。
また、大崎式は砂質土を対象とするため、粘性土には適用できません。
自治体の技術基準に採用方法や上限値が定められている場合は、その規定に従って内部摩擦角を設定します。
まとめ

内部摩擦角は、土質区分や試験条件を確認したうえで設定する必要があります。
表の標準値や大崎式による推定値を機械的に採用せず、設計対象と自治体の技術基準に適合する値か確認しましょう。
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