【擁壁工】L型擁壁の主筋と配力筋の違い|縦筋・横筋の配置と役割を解説

L型擁壁の配筋図を見て、縦筋と横筋のどちらが主筋で、どちらが配力筋なのか迷うことがありませんか?

結論から申しますと、縦壁では縦筋が主筋、横筋が配力筋です。

また、底版では、擁壁の前後方向に配置する鉄筋が主筋、擁壁の延長方向に配置する鉄筋が配力筋になります。

主筋は、土圧や地盤反力によって生じる曲げモーメントに抵抗する構造鉄筋で、必要鉄筋量は構造計算によって決めます。

一方、配力筋は作用する荷重のムラを分散し、主筋に生じる応力を均等化するための鉄筋です。

配力筋は構造計算上は無視しますが、省略できるわけではなく、鉄筋径やピッチは自治体の技術基準や標準仕様に基づいて決めます。

本記事では、L型擁壁における主筋と配力筋の配置、役割、鉄筋量の決め方を解説します。

目次
  1. L型擁壁の縦筋と横筋はどちらが主筋・配力筋なのか
    1. 縦壁では縦筋が主筋、横筋が配力筋
    2. 底版では前後方向が主筋、延長方向が配力筋
  2. L型擁壁の主筋と配力筋の役割
    1. 主筋は曲げモーメントに抵抗する構造鉄筋
    2. 配力筋は土圧のムラを分散して主筋の応力を均等化する
  3. L型擁壁の主筋量と配力筋量の決め方
    1. 主筋量は構造計算で決める
    2. 配力筋は構造計算上は無視する
    3. 配力筋の鉄筋径やピッチは自治体の仕様で決める
  4. よくある質問
    1. L型擁壁の縦筋と横筋はどちらが主筋ですか?
    2. 配力筋は構造計算に含めますか?
    3. 配力筋はD10を300mmピッチで配置すればよいですか?
    4. 配力筋の仕様は自治体によって異なりますか?
  5. まとめ
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土質 太郎

建設コンサルタントに長年従事しており、宅地造成の地盤分野に特化した情報を発信しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士

L型擁壁の縦筋と横筋はどちらが主筋・配力筋なのか

L型擁壁では、土圧や地盤反力によって曲げモーメントが生じる方向に主筋を配置します。

縦壁では縦筋が主筋、横筋が配力筋です。

底版では縦筋・横筋という表現では方向が分かりにくいため、擁壁の前後方向と延長方向に分けて考えます。

部位主筋配力筋
縦壁縦筋横筋
底版擁壁の前後方向擁壁の延長方向

配筋図を確認するときは、鉄筋がどの方向に配置されているかを確認することが重要です。

縦壁では縦筋が主筋、横筋が配力筋

L型擁壁の竪壁の配筋図。縦方向に入る主鉄筋(D13・D16、ピッチ250mm)と、横方向に入る配力筋(D13、ピッチ250mm)の位置を示す

L型擁壁の縦壁は、背面から土圧を受ける片持ち梁として設計します。

土圧による曲げモーメントに抵抗するため、上下方向に配置する縦筋が主筋です。

一方、擁壁の延長方向に配置する横筋は配力筋です。

配力筋には、擁壁の延長方向に生じる土圧のムラを複数の主筋へ分散し、主筋の応力を均等化する役割があります。

底版では前後方向が主筋、延長方向が配力筋

L型擁壁の底版の配筋図。上面と下面それぞれに、前後方向の主鉄筋(D16・D13、ピッチ250mm)と延長方向の配力筋(D13、ピッチ250mm)が入る

底版では、擁壁の前面側から背面側へ向かう方向に主筋を配置します。

底版には地盤反力や底版上の土の重量などが作用するため、これらによって生じる曲げモーメントに抵抗する鉄筋が主筋です。

これに対して、擁壁の延長方向に配置する鉄筋が配力筋となります。

底版の主筋は、縦壁のように単純な縦筋・横筋では説明しにくいため、配筋図では擁壁の前後方向と延長方向を確認しましょう。

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L型擁壁の主筋と配力筋の役割

主筋と配力筋は、配置する方向だけでなく、構造上の役割も異なります。

主筋は土圧や地盤反力によって生じる曲げモーメントに抵抗する鉄筋です。

一方、配力筋は擁壁の延長方向に作用する荷重のムラを分散し、主筋に生じる応力を均等化します。

鉄筋主な役割構造計算上の扱い
主筋曲げモーメントに抵抗する抵抗鉄筋として考慮する
配力筋荷重を分散し、主筋の応力を均等化する抵抗力を無視する

主筋は曲げモーメントに抵抗する構造鉄筋

主筋は、L型擁壁に作用する外力に対して、構造物の安全性を確保するための構造鉄筋です。

縦壁には背面土から土圧が作用し、底版には地盤反力や底版上の土の重量などが作用します。

これらの荷重によって縦壁や底版に曲げモーメントが生じるため、コンクリートの引張側に主筋を配置します。

コンクリートは圧縮力には強い一方、引張力には弱いため、引張力を主筋に負担させる仕組みです。

主筋の必要鉄筋量は、構造計算で求めた曲げモーメントに基づいて決定します。

配力筋は土圧のムラを分散して主筋の応力を均等化する

擁壁の背面に作用する土圧は、延長方向に常に均等とは限りません。

背面土の状態や上載荷重などによって局部的な差が生じるため、配力筋によって荷重を複数の主筋へ分散させます。

これにより、一部の主筋だけに応力が偏ることを防ぎ、主筋の応力を均等化できます。

配力筋は主筋と直交する方向に配置し、主筋同士を結合する役割も担います。

ただし、L型擁壁の構造計算では配力筋の抵抗力を無視し、主筋のみで曲げに対する安全性を確認します。

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L型擁壁の主筋量と配力筋量の決め方

L型擁壁では、主筋と配力筋で鉄筋量の決め方が異なります。

主筋は、縦壁や底版に生じる曲げモーメントをもとに必要鉄筋量を算定します。

一方、配力筋は構造計算上は無視し、自治体の技術基準や標準仕様に従って鉄筋径とピッチを決めます。

鉄筋鉄筋量の決め方構造計算上の扱い
主筋曲げモーメントから必要鉄筋量を算定する抵抗鉄筋として考慮する
配力筋自治体の技術基準や標準仕様に従う抵抗力を無視する

主筋量は構造計算で決める

主筋量は、土圧や地盤反力などによって縦壁や底版に生じる曲げモーメントから算定します。

構造計算で求めた必要鉄筋量を満たすように、鉄筋径と配置ピッチを決定します。

例えば、必要鉄筋量を満たす場合でも、鉄筋径を大きくして本数を減らす方法と、鉄筋径を小さくしてピッチを狭める方法があります。

実際の配筋では、必要鉄筋量だけでなく、最小鉄筋量や最大ピッチ、鉄筋のあき、かぶり厚さなども確認しなければなりません。

配力筋は構造計算上は無視する

配力筋には、土圧などのムラを複数の主筋へ分散し、主筋の応力を均等化する役割があります。

しかし、L型擁壁の構造計算では、配力筋を曲げモーメントに抵抗する鉄筋として扱いません。

配力筋の抵抗力は無視し、主筋だけで必要鉄筋量を満たすように設計します。

ただし、構造計算上は無視するものの、配力筋を省略してよいわけではありません。

配力筋の鉄筋径やピッチは自治体の仕様で決める

配力筋の鉄筋径やピッチは、盛土等規制法に基づいて自治体が定める技術基準や標準仕様を確認して決めます。

一般的な仕様として、D10以上の鉄筋を300mm以下のピッチで配置する基準があります。

自治体によっては、D13以上の鉄筋を250mm以下のピッチで配置することを求める場合もあります。

配力筋の仕様は全国一律ではないため、過去に使用した配筋図や他の自治体の標準図をそのまま流用してはいけません。

擁壁を設置する地域の技術基準を確認し、定められた最小径と最大ピッチを満たす必要があります。

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よくある質問

L型擁壁の縦筋と横筋はどちらが主筋ですか?

L型擁壁の縦壁では、縦筋が主筋、横筋が配力筋です。

縦筋は土圧によって生じる曲げモーメントに抵抗し、横筋は土圧のムラを分散して主筋の応力を均等化します。

底版では、擁壁の前後方向に配置する鉄筋が主筋、擁壁の延長方向に配置する鉄筋が配力筋です。

配力筋は構造計算に含めますか?

配力筋は、L型擁壁の構造計算上は無視します。

曲げモーメントに対する必要鉄筋量は、主筋だけで満足するように設計します。

配力筋は構造計算に含めませんが、省略できる鉄筋ではありません。

土圧のムラを分散して主筋の応力を均等化するため、自治体の仕様に従って配置します。

配力筋はD10を300mmピッチで配置すればよいですか?

D10を300mm以下のピッチで配置する基準がありますが、すべての自治体で共通する仕様ではありません。

自治体によっては、D13を250mm以下のピッチで配置するよう定めている場合があります。

D10・300mmピッチを一律に採用せず、擁壁を設置する自治体の技術基準や標準構造図を確認してください。

配力筋の仕様は自治体によって異なりますか?

配力筋の最小径や最大ピッチは、自治体によって異なります。

盛土等規制法に基づく技術基準や擁壁の標準構造図には、自治体ごとの配筋仕様が示されています。

他の自治体の標準図や過去の設計図をそのまま流用せず、申請先の最新基準を確認する必要があります。

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まとめ

L型擁壁の縦壁では、縦筋が主筋、横筋が配力筋です。

底版では、擁壁の前後方向に配置する鉄筋が主筋、延長方向に配置する鉄筋が配力筋となります。

主筋は曲げモーメントに抵抗する構造鉄筋であり、必要鉄筋量を構造計算によって決めます。

配力筋は構造計算上は無視しますが、土圧などのムラを分散し、主筋の応力を均等化するために必要です。

配力筋の鉄筋径やピッチは自治体によって異なるため、設計時には申請先の技術基準や標準構造図を確認しましょう。

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