鉄筋コンクリート構造物の配筋図を作成するとき、主鉄筋と配力筋のどちらを外側に配置するべきか迷うことがありますよね。
標準図でも内側に入っていたり、外側に入っていたりするため迷うことも多いと思います。
結論からいうと、原則として配力筋は内側に配置するのがおすすめです。
配力筋を外側に配置すると、その分だけ主鉄筋のかぶりが大きくなり、構造上不利になる可能性があるためです。
この記事では、配力筋を内側に配置したほうがよい理由と、外側に配置する場合の考え方を解説します。
配力筋は原則として内側への配置がおすすめ

配力筋を内側と外側のどちらに配置するかについて、すべての構造物に共通する絶対的な決まりはありません。
配筋図や設計基準、構造物の形状、施工方法などによって、配力筋を外側に配置する場合もあります。
そのうえで、宅地擁壁では、原則として主鉄筋を外側、配力筋を内側に配置するのがおすすめです。
この配置をおすすめする大きな理由は、鉄筋のかぶりと主鉄筋の有効高さにあります。
鉄筋のかぶりは配力筋を含めて確保する

鉄筋コンクリートのかぶりは、コンクリート表面から、最も外側に配置された鉄筋までの距離で確認します。
つまり、主鉄筋の外側に配力筋を配置する場合は、配力筋の表面から必要かぶりを確保しなければなりません。
宅地擁壁では、土に接する部分などについて60mm以上の純かぶりを確保する設計が一般的です。
配力筋を外側に配置する場合、コンクリート表面から配力筋まで60mmを確保し、さらに配力筋の直径を挟んで主鉄筋を配置することになります。
配力筋を外側に配置すると、主鉄筋のかぶりが必然的に大きくなります。
主鉄筋を必要かぶりギリギリに配置したほうが有利

鉄筋コンクリート部材の曲げに対する検討では、主鉄筋の有効高さが重要になります。
有効高さとは、一般的にはコンクリートの圧縮縁から引張側主鉄筋の中心までの距離です。(上図のdが有効高です)
同じ壁厚であれば、引張側の主鉄筋をできるだけコンクリート表面に近づけたほうが、有効高さを大きく確保できます。
反対に、配力筋を主鉄筋の外側へ配置すると、主鉄筋の位置が内側へ移動するため、曲げに対して不利な配筋になります。
計算に含まれない配力筋を外側に置くのはもったいない

宅地擁壁の構造計算では、一般的に縦方向の主鉄筋を曲げに抵抗する鉄筋として計算します。
一方、横方向の配力筋は、主鉄筋へ応力を分散させることや、ひび割れを抑制すること、鉄筋形状を保持することなどを目的として配置します。
配力筋も構造細目上は必要な鉄筋ですが、主鉄筋と同じように曲げ耐力の計算へ直接関連するものではありません。
その配力筋を外側に配置することで、構造計算に使用する主鉄筋を内側へ押し込んでしまうのは、構造上もったいない配置といえます。
有効高さが小さくなれば、必要な曲げ耐力を確保するために、主鉄筋の径を大きくしたり、鉄筋の間隔を狭くしたりする必要が生じる場合があります。
条件によっては、壁厚そのものを大きくしなければならない可能性もあります。
必要かぶりを確保したうえで主鉄筋をなるべく外側へ配置し、配力筋をその内側に納めたほうが、合理的な構造となります。
例外:施工性を考慮すると外側のほうが良い場合もある

構造面だけを考えれば、配力筋は内側に配置したほうが合理的です。
ただし、実際の配筋では施工性も無視できません。
鉄筋の組み立て手順や結束方法によっては、配力筋を外側に配置したほうが作業しやすくなります。
そのため、施工性を優先して配力筋を外側に配置する考え方自体が間違いというわけではありません。
ただし、配力筋を外側に配置する場合は、その配置を前提に主鉄筋の有効高さを設定し、構造計算と配筋図を整合させる必要があります。
計算では主鉄筋を外側に配置しているにもかかわらず、現場判断で配力筋を外側に入れれば、構造計算で想定した主鉄筋の位置と実際の位置が変わってしまいます。
施工しやすいからという理由だけで、設計図と異なる位置へ入れ替えてはいけません。
配力筋を外側にするなら設計段階で決めておく

配力筋の位置は、現場で鉄筋を組み始めてから決める内容ではありません。
内側に配置するのか、外側に配置するのかを設計段階で決め、構造計算書と配筋図へ反映しておく必要があります。
構造の合理化や経済性を優先するのであれば、主鉄筋を必要かぶりに近い位置へ配置し、配力筋を内側に納めます。
施工性を優先して配力筋を外側にするのであれば、主鉄筋の位置が内側へ移動することを踏まえて有効高さを設定します。
経済性と施工性のどちらを優先するかは、設計段階で決めておく必要があります。
まとめ

配力筋を内側・外側のどちらに配置するかについて、一律に決めた仕様はありません。
ただし、経済性を考慮すると原則として配力筋を主鉄筋の内側に配置するのがおすすめです。
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