重力式擁壁には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
重力式擁壁は、コンクリートの自重によって土圧に抵抗する擁壁です。
鉄筋を使用せずに施工できる一方で、コンクリートの使用量が多く、地盤にも大きな荷重がかかります。
この記事では、重力式擁壁のメリット・デメリットと、採用に適している条件を解説します。
重力式擁壁とは?

重力式擁壁とは、コンクリートで構築した壁体の重さによって、背面の土から作用する土圧に抵抗する擁壁です。
壁体は上部が薄く、下部に向かって厚くなる台形状が一般的です。
鉄筋コンクリート造のL型擁壁とは異なり、基本的に鉄筋を使用せず、無筋コンクリートで構築します。
重力式擁壁のメリット

重力式擁壁には、鉄筋コンクリート擁壁と比べて構造や施工が単純で、長期的な耐久性を確保しやすいメリットがあります。
特に、高低差の低い場所で良好な支持地盤が確保できる場合に採用しやすい構造です。
鉄筋を使用せずに施工できる
重力式擁壁は、一般的に無筋コンクリートで構築します。
鉄筋の加工や組立が不要なため、配筋作業にかかる手間を省くことができます。
また、鉄筋の間隔やかぶり厚さなどの配筋管理も基本的に必要ありません。
ただし、ひび割れ防止などを目的として、用心鉄筋を配置する場合もあります。
構造が単純で施工しやすい
重力式擁壁は、コンクリートの自重によって土圧に抵抗する単純な構造です。
複雑な配筋作業を必要としないため、型枠を設置してコンクリートを打設するというシンプルな施工工程となります。
ただし、壁体が厚いため、コンクリートを確実に充填し、打継ぎ部や温度ひび割れにも注意する必要があります。
耐久性を確保しやすい
重力式擁壁は基本的に鉄筋を使用しないため、鉄筋腐食によるコンクリートの剥離や剥落が生じません。
適切なコンクリート品質を確保し、排水設備を適切に設ければ、長期間にわたって性能を維持しやすい構造です。
重力式擁壁のデメリット

重力式擁壁は、壁体の自重によって土圧に抵抗するため、断面が大きくなりやすい構造です。
擁壁の高さが増すほどコンクリート量や地盤への荷重が増えるため、適用できる高さや地盤条件には限度があります。
コンクリートの使用量が多い

重力式擁壁は、壁体の重量を確保するために、断面を厚くする必要があります。
そのため、鉄筋コンクリート擁壁と比べてコンクリートの使用量が多くなる傾向があります。
コンクリート量が増えると、材料費だけでなく、運搬や打設にかかる費用も増加します。
大きな地盤支持力を必要とする

重力式擁壁は壁体が重いため、L型擁壁と比較すると基礎地盤に作用する鉛直荷重が大きくなります。
地盤の支持力が不足していると、擁壁の沈下や傾斜が生じるおそれがあります。
軟弱地盤に設置する場合は、基礎地盤の置換や地盤改良などが必要となり、工事費が増加する場合があります。
壁高が高くなるほど不経済になりやすい
重力式擁壁は、壁高が高くなるほど土圧が増加するため、壁体の断面を大きくする必要があります。
擁壁の壁高が高くなるにつれて、コンクリート量や掘削量が大幅に増え、工事費も高くなります。
そのため、概ね1mを超える擁壁では、L型擁壁などを含めて経済性を比較する必要があります。
重力式擁壁が適している条件

重力式擁壁は、良好な支持地盤が浅い位置にあり、比較的低い擁壁を設置する場合に適しています。
構造が単純で鉄筋を使用しないため、小規模な造成工事では施工性や経済性に優れます。現場条件に合わせて断面を調整しやすい点も特徴です。
一方、軟弱地盤や高低差が大きい場所では、壁体の重量やコンクリート量が増えるため、L型擁壁などとも比較して選定する必要があります。
重力式擁壁を採用する際の注意点

重力式擁壁は構造が単純ですが、壁体が重いため、基礎地盤の支持力や沈下に注意が必要です。
また、全ての擁壁に共通しますが、擁壁背面に地下水がたまると、設計で想定していない水圧が作用するおそれがあります。
水抜き穴や透水層などの排水設備を適切に設け、背面土の排水性を確保することが重要です。
重力式擁壁の標準断面や適用できる高さは自治体によって異なるため、計画地の技術基準や標準構造図も確認しましょう。
まとめ

重力式擁壁は、構造が単純で施工しやすく、耐久性を確保しやすい一方で、コンクリート量が多く、基礎地盤にも大きな支持力が求められます。
特に、擁壁が高くなるほど断面や工事費が増えるため、比較的低い擁壁で、良好な支持地盤が確保できる条件に適しています。
採用する際は、擁壁の高さや地盤条件、施工性、経済性を踏まえ、他の擁壁形式と比較したうえで判断しましょう。
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