宅地造成で開発道路を計画すると、道路管理者との協議で舗装計算を求められる場面がありますよね。
TA法(ティーエーほう)の計算式は、1行で書ける短い式ですが、条件の読み違いで舗装の早期のひび割れや協議でのやり直しの原因になるため注意が必要です。
そこでこの記事では、TA法による舗装計算の手順を解説します。
この記事を読むことで、疲労破壊輪数の決め方から設計CBRの求め方、舗装構成の照査までの流れが理解できるようになります。
また、開発道路で確認すべき市町村の基準や、令和9年4月に適用が始まる新しい技術基準との関係も把握することが可能です。
結論から申しますと、TA法による舗装計算は、設計した舗装のTA′(等値換算厚)を、必要TA以上にするための計算です。
結論:舗装のTA′を必要TA以上にする

TA法による舗装計算では、設計者がTA′≧TAとなるように舗装の各層の厚さを決めます。
必要TA(必要等値換算厚)とは、路床の設計CBRと疲労破壊輪数から求める、舗装の厚さの目標値のことです。
また、TA′(等値換算厚)とは、設計した各層の厚さを加熱アスファルト混合物の厚さに換算して合計した値のことです。
TA法では、次の4つの計算式を使います。
| 計算する値 | 計算式 | 記号の意味 |
|---|---|---|
| 必要TA(信頼度90%) | TA=3.84×N^0.16/CBR^0.3 | N:疲労破壊輪数、CBR:路床の設計CBR |
| 必要TA(信頼度75%) | TA=3.43×N^0.16/CBR^0.3 | 同上 |
| 必要TA(信頼度50%) | TA=3.07×N^0.16/CBR^0.3 | 同上 |
| 設計した舗装のTA′ | TA′=Σ(ai×hi) | ai:各層の等値換算係数、hi:各層の厚さ(cm) |
TA法による舗装計算は、次の5つの順序で進めます。
- 舗装計画交通量から、交通量区分と疲労破壊輪数Nを決める
- CBR試験の結果から、路床の設計CBRを決める
- 信頼度に応じた式で、必要TAを計算する
- 等値換算係数と最小厚さを使って、舗装構成を仮定する
- 舗装構成のTA′が必要TA以上かを照査する
疲労破壊輪数と設計CBRを正しく決めれば、TA法の計算結果は誰が計算しても同じ値になります。
TA法が舗装計算の標準として使われる理由
理由1:TA法で設計した舗装は疲労破壊輪数の基準に適合するとみなされる
TA法で設計したアスファルト舗装は、疲労破壊輪数の基準に適合する舗装として扱われます。
疲労破壊輪数とは、舗装路面に49kNの輪荷重を繰り返し加えたときに、舗装にひび割れが生じるまでの回数のことです。
TA法を使うと、設計者は載荷試験をせずに舗装構成を決めることができます。
各地の道路管理者の舗装設計要領でも、TA法による構造設計が標準です。
理由2:TA法は交通量と路床の強さの2つで舗装の厚さを決めることができる
TA法の必要TAは、疲労破壊輪数Nが大きいほど厚くなり、設計CBRが大きいほど薄くなります。
必要TAの式では、Nの指数が0.16、CBRの指数が0.3です。
例えば、Nが2倍になると、必要TAは約1.12倍になります。一方で、設計CBRが2倍になると、必要TAは約0.81倍です。
次の表は、交通量区分N3・設計期間10年・信頼度90%の必要TAを、設計CBRごとに計算した例です。
| 設計CBR | 3 | 4 | 6 | 8 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|
| 必要TA(cm) | 14.37 | 13.18 | 11.67 | 10.71 | 9.48 |
理由3:TA法は等値換算係数で異なる材料を同じ物差しにそろえることができる
TA法では、等値換算係数を使って、材料の異なる層を同じ単位に揃えることができます。
等値換算係数とは、ある材料の厚さ1cmが、加熱アスファルト混合物の何cm分に相当するかを示す係数のことです。
主な材料の等値換算係数は、次の表のとおりです。
| 使用する層 | 材料・工法 | 品質規格 | 等値換算係数 |
|---|---|---|---|
| 表層・基層 | 加熱アスファルト混合物 | ストレートアスファルトを使用 | 1.00 |
| 上層路盤 | 瀝青安定処理(加熱混合) | 安定度3.43kN以上 | 0.80 |
| 上層路盤 | セメント・瀝青安定処理 | 一軸圧縮強さ1.5~2.9MPaほか | 0.65 |
| 上層路盤 | セメント安定処理 | 一軸圧縮強さ(7日)2.9MPa | 0.55 |
| 上層路盤 | 粒度調整砕石 | 修正CBR80以上 | 0.35 |
| 下層路盤 | クラッシャラン・砂など | 修正CBR30以上 | 0.25 |
| 下層路盤 | クラッシャラン・砂など | 修正CBR20以上30未満 | 0.20 |
| 下層路盤 | セメント安定処理 | 一軸圧縮強さ(7日)0.98MPa | 0.25 |
例えば、粒度調整砕石を15cm敷いた層のTA′は、15×0.35=5.25cmになります。
TA法では、粒度調整砕石15cmを、加熱アスファルト混合物5.25cmと同じ働きをする層として扱います。
TA法による舗装計算の手順

手順1:舗装計画交通量から疲労破壊輪数Nを決める
TA法の最初の作業は、舗装計画交通量から交通量区分を選ぶ作業です。
舗装計画交通量とは、大型の自動車の1日あたり・1方向あたりの交通量のことです。
なお、普通道路の舗装計画交通量には、乗用車の台数を含めません。
| 交通量区分 | 舗装計画交通量(台/日・方向) | 疲労破壊輪数(回/10年) | 旧区分 |
|---|---|---|---|
| N7 | 3,000以上 | 35,000,000 | D交通 |
| N6 | 1,000以上3,000未満 | 7,000,000 | C交通 |
| N5 | 250以上1,000未満 | 1,000,000 | B交通 |
| N4 | 100以上250未満 | 150,000 | A交通 |
| N3 | 40以上100未満 | 30,000 | L交通 |
| N2 | 15以上40未満 | 7,000 | - |
| N1 | 15未満 | 1,500 | - |
表の疲労破壊輪数は、設計期間10年の値です。
設計期間が10年以外の場合、設計者は表の値に「設計期間÷10年」を掛けます。
例えば、設計期間20年のN3では、疲労破壊輪数Nは60,000回になります。
手順2:CBR試験の結果から路床の設計CBRを決める
路床とは、路床面から下へ1mの範囲の盛土の表層部を指します。
CBR試験の結果から、路床の設計CBRを決めます。
手順3:信頼度に応じた式で必要TAを計算する
必要TAの式は、信頼度によって係数が異なります。
信頼度とは、舗装が設計期間を通して疲労破壊しない確率のことです。
たとえば信頼度90%の設計では、累積の輪数が疲労破壊輪数に達したときに、10%の確率で舗装が破壊すると考えます。
信頼度と設計期間は、道路管理者が定める条件です。
手順4:等値換算係数と最小厚さを使って舗装構成を仮定する
舗装構成を仮定するときは、TA′の値だけでなく下表の各層の最小厚さも満足する必要があります。
| 交通量区分 | 表層と基層を加えた最小厚さ |
|---|---|
| N1・N2 | 4cm(3cm) |
| N3・N4 | 5cm |
| N5 | 10cm(5cm) |
| N6 | 15cm(10cm) |
| N7 | 20cm(15cm) |
表の( )内の厚さは、上層路盤に瀝青安定処理などを使う場合に適用します。
| 路盤の工法・材料 | 1層の最小厚さ |
|---|---|
| 瀝青安定処理 | 最大粒径の2倍かつ5cm |
| その他の路盤材 | 最大粒径の3倍かつ10cm |
また、舗装構成は、強度の大きい材料を上の層に配置するのが原則です。
手順5:舗装構成のTA′が必要TA以上かを照査する
最後に、設計者は仮定した舗装構成のTA′を計算し、TA′≧TAとなることを確認します。
TA′が必要TAを満足しない場合は、路盤を厚くするか、等値換算係数の大きい材料への変更が必要になります。
また、路床を改良して設計CBRを増加させる方法もよく用いられます。
TA法で舗装計算をするときの注意点

注意点1:設計CBRが3未満の路床では路床の構築を先に検討する
区間のCBRが3未満の路床では、設計者はTA法の計算に入る前に路床の再構築を検討します。
理由は、軟弱な路床では路盤の施工基盤を確保できず、供用後に問題が生じる可能性が高いためです。
路床の構築には、置換工法や安定処理工法などがあります。
改良した層のCBRに上限(例えば20)を設ける道路管理者もありますので、路床の改良を計画するときは、道路管理者の要領で上限値を確認しましょう。
注意点2:目標TAの丸め方は道路管理者の要領によって異なる
必要TAの計算値を目標TAにするときの丸め方は、道路管理者の要領によって異なります。
例えば、N3・設計期間10年・信頼度90%・設計CBR4の計算値は13.18cmです。
一方で、計算値を切り上げた14cmを目標TAとして早見表に載せている自治体もあります。
舗装計算を始める前に、早見表の値と丸め方を確認しましょう。
注意点3:開発道路の舗装構成は引き継ぎ先の市町村の基準に従う
開発行為で設置した道路は、工事完了の公告の翌日に、原則として市町村の管理に移ります。
開発許可の事前協議で、採用する基準を確認しておきましょう。
注意点4:積雪寒冷地では凍結深さに対する舗装の厚さも照査する
積雪寒冷地では、設計者はTA法の照査とは別に、凍結深さに対する舗装の総厚も照査します。
置換え深さは、道路管理者の要領で確認してください。
注意点5:令和9年4月以降に着手する設計では新しい技術基準を確認する
国土交通省は令和8年9月30日に、舗装の構造に関する技術基準の改定を公表しました。
新しい技術基準は、令和9年4月1日以降に新たに着手する道路舗装の設計に適用されます。適用の対象は、高速自動車国道や一般国道の舗装です。
新しい技術基準では、舗装の性能ごとに性能保持想定期間を算出します。
性能保持想定期間とは、新設や改築から、修繕が必要な状態に達するまでの想定期間のことです。
新しい技術基準のもとでのTA法の扱いは、道路管理者の要領や解説書の改訂で確認する必要があります。
まとめ

以上。本記事ではTA法による舗装計算の手順を解説しました。
本記事のまとめは以下のとおりです。
- TA法による舗装計算は、舗装のTA′を必要TA以上にする計算
- 必要TAは、疲労破壊輪数N・設計CBR・信頼度の3つで決まる
- 疲労破壊輪数は設計期間10年の値なので、設計期間に応じて補正する
- 設計CBRは、地点のCBR→区間のCBR(平均値-標準偏差)→設計CBRの順で決める
- TA′の照査では、表層・基層と路盤の最小厚さも同時に満足する必要がある
- 設計CBRが3未満の路床では、路床の再構築を先に検討する
- 開発道路では、引き継ぎ先の市町村の技術基準を確認する
- 令和9年4月1日以降に着手する設計では、新しい舗装の技術基準の適用を確認する
舗装計算を始める前に、開発道路を引き継ぐ市町村の技術基準で、交通量区分・信頼度・設計期間・目標TAを確認しましょう。
そのうえで、CBR試験の結果から設計CBRを求め、TA′≧TAを満たす舗装構成を複数比較してみてください。


