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【軟弱地盤】過圧密と正規圧密の違い|「過圧密なら沈下しない」は誤り

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宅地造成に関わる技術者は、道路や港湾などで行われる大規模な軟弱地盤対策と比べ、長期的な圧密沈下を扱う経験が浅い人も多いです。

そのため、圧密試験結果に「過圧密」と書かれているだけで、「この地盤は沈下しない」「沈下検討は不要」と判断されることがしばしばあります。

しかし、過圧密とは沈下しない地盤ではありません。

正規圧密と過圧密は沈下の有無を示す区分ではなく、現在の有効土被り圧と圧密降伏応力の関係を示す区分です。

どちらに分類されても、それだけで沈下検討を省略できる理由にはなりません。

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土質 太郎

建設コンサルタントに長年従事しており、宅地造成の地盤分野に特化した情報を発信しています。

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・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士

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正規圧密と過圧密の違い

正規圧密と過圧密は、原地盤の有効土被り圧と圧密降伏応力を比較して判断します。

圧密降伏応力とは、土の圧縮性が大きく変化する境界となる応力です。

地盤の状態原地盤の応力関係荷重増加時の特徴
正規圧密有効土被り圧と圧密降伏応力が同程度荷重増加によって圧縮性の大きい正規圧密領域に入る
過圧密有効土被り圧が圧密降伏応力より小さい圧密降伏応力までは比較的圧縮性が小さい

正規圧密地盤は、現在受けている有効応力が圧密降伏応力に達している状態です。

そのため、新たな荷重が加わると、圧縮性の大きい正規圧密領域で沈下します。

過圧密地盤は、圧密降伏応力が現在の有効土被り圧を上回っている状態です。

現在の有効土被り圧から圧密降伏応力まで、正規圧密領域に入るまでの応力上の余裕があります。

過圧密は沈下しない状態ではなくバッファ

過圧密は、正規圧密領域に至るまでのバッファと考えると分かりやすいです。

応力の増加に伴い、地盤は次の順に圧縮されます。

  1. 原地盤の有効土被り圧
  2. 過圧密領域での再圧縮
  3. 圧密降伏応力
  4. 正規圧密領域での圧縮

過圧密領域でも、再圧縮による沈下は発生します。

圧密降伏応力を超える前は圧縮性が比較的小さいだけで、沈下量がゼロになるわけではありません。

さらに増加応力によって圧密降伏応力を超えると圧縮性が大きくなるため、沈下量も増加します。

したがって、過圧密は「沈下しない地盤」ではなく、「圧縮性の大きい正規圧密領域に入るまでバッファがある地盤」です。

原地盤が過圧密かどうかは造成前に判断できる

原地盤が正規圧密か過圧密かは、造成前の応力状態で判断できます。

確認する値は次の2つです。

  • 原地盤の有効土被り圧
  • 圧密試験から求めた圧密降伏応力

過圧密比OCRは、次の式で求めます。

OCR=圧密降伏応力÷原地盤の有効土被り圧

OCR原地盤の状態
OCR=1正規圧密
OCR>1過圧密

ここで判断できるのは、あくまで原地盤の圧密状態です。

造成後の沈下量や、造成後も過圧密領域に収まるかまでは判断できません。

原地盤が過圧密でも造成後は正規圧密領域に入ることがある

盛土や構造物を築造すると、原地盤に増加応力が加わります。

造成後は、次の関係を確認します。

造成後の有効応力=原地盤の有効土被り圧+増加応力

造成後の応力関係圧縮状態
造成後の有効応力が圧密降伏応力以下過圧密領域で再圧縮する
造成後の有効応力が圧密降伏応力を超える超過部分が正規圧密領域に入る

例えば、原地盤の有効土被り圧が50kN/m²、圧密降伏応力が100kN/m²なら、原地盤は過圧密です。

増加応力が30kN/m²なら、造成後の有効応力は80kN/m²となり、造成後も過圧密領域に収まります。

増加応力が70kN/m²なら、造成後の有効応力は120kN/m²となり、100kN/m²を超えた部分は正規圧密領域に入ります。

正規圧密と過圧密で違うのは、沈下するかどうかではなく、圧縮性と沈下量です。

圧密状態だけで沈下検討を省略してはいけない

沈下検討の目的は、地盤を正規圧密か過圧密かに分類することではありません。

造成後に生じる沈下量と沈下時間を予測し、宅地や構造物に支障がないかを確認することです。

次の判断は誤りです。

NGな考えの例(実務でこの考えの人は意外に多い)
  • 原地盤が過圧密だから沈下しない
  • 造成後も過圧密領域だから沈下量はゼロ
  • OCRが大きいから沈下検討は不要
  • 圧密降伏応力を超えないから問題ない
  • 正規圧密か過圧密か判定すれば検討は完了する

設計では、少なくとも次の内容を確認します。

  • 圧密対象層の分布と層厚
  • 原地盤の有効土被り圧
  • 圧密降伏応力とOCR
  • 盛土や構造物による増加応力
  • 再圧縮領域と正規圧密領域の沈下量
  • 許容沈下量と不同沈下への影響

まとめ

正規圧密と過圧密は、原地盤の有効土被り圧と圧密降伏応力の関係を示す区分です。

造成後も過圧密領域に収まるかは、増加応力を加えた造成後の有効応力によって確認しなければなりません。

また、正規圧密でも過圧密でも圧縮沈下は発生します。

正規圧密か過圧密かにかかわらず、圧密状態だけで沈下検討を省略することはできません。

造成後の沈下量を算定し、宅地として支障がないかを確認することが重要です。

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