擁壁の目地や水抜き穴から生えた雑草は、見た目だけの問題ではありません。
根が太くなると目地やひび割れを押し広げ、コンクリートの欠損や排水不良を引き起こす可能性があります。
さらに、水抜き穴から背面へ伸びた根が、吸い出し防止材を傷めるおそれもあります。
本記事では、擁壁の雑草が危険な理由と対処方法を解説します。
擁壁の目地や水抜き穴に生えた雑草は放置しない

擁壁の雑草は、根が太くなる前に除去しましょう。
とくに注意が必要なのは、次の場所に生えた雑草です。
| 生えている場所 | 主な危険 |
|---|---|
| コンクリートの目地 | 根が目地を押し広げる |
| ひび割れや欠損部 | 根の肥大によって損傷が進む |
| 水抜き穴 | 排水を妨げ、根が背面へ伸びる |
| 石積み擁壁の隙間 | 石や目地を押してずれを生じさせる |
雑草を除去した後も、目地開き、ひび割れ、土砂の流出が残っていれば補修が必要です。
雑草が擁壁を壊す仕組み

根が目地やひび割れを押し広げる

植物の根は、目地や既存のひび割れなど、水分を得やすく抵抗の小さい部分へ入り込みます。
最初は細い根でも、成長を続けると太くなり、周囲へ圧力を加えます。
その結果、目地材が剥がれたり、コンクリートの角が欠けたりして、さらに根が伸びやすい状態になります。
擁壁の隙間から発芽した木本類には、とくに注意が必要です。
幹や根が年々太くなり、擁壁のずれやコンクリートの破損を進行させるため、樹木へ成長する前に除去しましょう。
水抜き穴を塞いで排水を妨げる

水抜き穴は、擁壁背面へ浸透した雨水や地下水を外へ排出する設備です。
雑草の茎や根が穴の中へ広がると排水断面が狭くなり、枯れた根、落ち葉、土砂も引っ掛かります。
排水機能が低下すると擁壁背面に水がたまり、擁壁へ加わる水圧が増大します。
水抜き穴から草が見えているなら、入口が土砂や根で塞がれていないか確認しましょう。
なお、除去のために闇雲に棒や高圧洗浄機を奥まで入れると、吸い出し防止材や背面の排水層を傷める恐れがあります。
手の届く範囲だけを清掃し、奥まで根が入り込んでいるときは専門業者へ相談しましょう。
根が吸い出し防止材を傷める
一般的な擁壁では、水抜き穴の背面に、土砂の流出を防ぐ吸い出し防止材が設置されています。
根が背面へ伸びると、吸い出し防止材を貫通したり、押し広げたりするおそれがあります。
根の貫通や腐朽によって損傷が残れば、細粒分の流出を防ぐ機能が低下します。
水抜き穴から雑草と一緒に土砂や濁水が出ているときは、背面土の流出も疑いましょう。
雑草が擁壁の変状を隠す
ツル植物や雑草が擁壁表面を覆うと、ひび割れ、目地開き、はらみ出し、漏水を確認することが難しくなります。
景観的にも良くないため、できるだけ擁壁表面を綺麗な状態に保ちましょう。
農家が用水路の雑草を取り除く理由

農家がコンクリート水路の雑草を定期的に除去している所をみかけたことはありませんか?
その目的は、景観を整えることだけではありません。
水路の目地へ入り込んだ根による損傷と、雑草による通水阻害を防ぐためです。
農林水産省の「水路・農道等の保全管理」でも、U字溝などの目地補修と併せて草抜きを行うよう示されています。
擁壁も同じコンクリート構造物であり、定期的な除草が構造物の機能を守ります。
擁壁の雑草を除去するときの注意点

発芽して間もない雑草は、根元を持って根ごと取り除きましょう。
除去後は目地に土が残っていないか確認し、目地材の剥がれや隙間があれば補修しましょう。
一方、幹が太くなった木や、目地の奥まで入り込んだ太い根を力任せに引き抜いてはいけません。根と一緒に目地材、緩んだコンクリート片、積石まで外す危険があります。
太い根は目に見える部分を切断したうえで、擁壁の状態を確認しながら除草剤による除根と補修を行いましょう。
なお、高い擁壁や手の届かない場所は、転落を防ぐため業者へ相談しましょう。
専門家へ相談すべき状態

次の状態が確認できたら、除草だけで終わらせず、擁壁を扱う土木設計会社、造成会社または自治体の窓口へ相談しましょう。
- 目地から樹木や太い根が生えている
- 雑草の周囲でコンクリートが欠けている
- 石積みの目地が開き、石がずれている
- 水抜き穴から土砂や濁水が流出している
- 擁壁にひび割れ、はらみ出し、傾斜がある
雑草と構造的な変状が同時に確認できる擁壁は、根を除去するだけでは安全性を回復できません。
変状の原因を確認し、目地補修、排水機能の回復または擁壁の補強を検討しましょう。
まとめ

本記事のまとめは以下のとおりです。
- 擁壁の目地や水抜き穴に生えた雑草は放置しない
- 成長した根は目地を広げ、コンクリートや石積みを傷める
- 水抜き穴の雑草は排水を妨げる
- 根が吸い出し防止材を貫通するおそれがある
- 雑草は小さいうちに除去し、除去後も擁壁を点検する
擁壁の雑草は、構造物の耐久性と排水機能を低下させる原因です。定期的に除去し、目地や水抜き穴を良好な状態に保つことが大事です。
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