地盤改良と聞くと、地盤全体が強くなり、沈下や崩壊の心配がなくなるように感じるかもしれません。
しかし、盛土は適当に地盤改良をすれば安全になるわけではありません。
圧密沈下、斜面崩壊、液状化など、対策したい問題に応じて、地盤改良の形式・改良強度・改良率を適切に設定する必要があります。
重要なのは、地盤改良をしたかどうかではなく、盛土の条件に合った地盤改良が計画されているかです。
盛土は地盤改良をすれば大丈夫とは限らない

地盤改良には、地盤の強度を高める、沈下を抑える、液状化を防ぐなどの目的があります。
ただし、すべての地盤改良が同じ効果を持つわけではありません。
主な違いは次のとおりです。
- 地表付近だけを改良する方法(浅層改良)
- 地中深くまで柱状に改良する方法(柱状改良)
- 地盤全体を改良する方法(主に沈下対策)
- 法先付近に改良体を配置する方法(主に法面崩壊対策)
- 格子状に改良体を配置する方法(主に液状化対策)
そのため、「地盤改良をする」という説明だけでは、安全かどうかを判断できません。
何を防ぐために、どの範囲を、どのような方法で改良するのかを確認する必要があります。
盛土で想定される主な問題
盛土で想定される主な問題は以下の3つです。
| 想定される問題 | 主な原因 | 地盤改良で確認すること |
|---|---|---|
| 圧密沈下 | 軟弱な粘性土地盤に盛土の重さが加わる | 軟弱層の深さ、改良範囲、沈下量 |
| 斜面崩壊 | 盛土や基礎地盤の強度不足 | すべり面、改良位置、改良深さ |
| 液状化 | 地下水位の高い緩い砂質地盤に地震動が加わる | 液状化層、地下水位、改良形式 |
軟弱地盤の圧密沈下

軟弱な粘性土地盤の上に盛土をすると、盛土の重さによって地中の水がゆっくりと抜け、長期間にわたって沈下することがあります。
これが圧密沈下です。
沈下が大きい場合は、造成地だけでなく、道路、擁壁、排水施設、建物などに段差や傾きが生じる可能性があります。
地表付近だけを改良しても、その下に厚い軟弱層が残っていれば、沈下を十分に抑えられないことがあります。
軟弱層の厚さや性質を調べ、必要な改良深さを決めることが重要です。
盛土や基礎地盤の斜面崩壊

盛土の斜面は、盛土部分だけでなく、その下の基礎地盤を含めて崩壊することがあります。
特に注意が必要なのは、次のような土地です。
- 傾斜地の上に盛土する
- 盛土の高さが大きい
- 基礎地盤が軟弱
- 地下水位が高い
- 盛土内に水がたまりやすい
地盤改良を行っていても、想定されるすべり面に対して改良範囲が浅い場合は、斜面崩壊を十分に防げません。
盛土と基礎地盤を含めた全体の安定性を確認する必要があります。
地震時の液状化

地下水位が高く、緩い砂質地盤では、地震によって液状化が発生する可能性があります。
液状化が起こると、地盤の沈下や変形が発生し、盛土、擁壁、建物などに影響します。
液状化対策には、地盤を締め固める方法、固化材で地盤を固める方法、地下水を排出しやすくする方法などがありますが、宅地で用いられるものは周辺地盤への影響が小さい柱状改良が殆どです。
沈下や斜面崩壊に対する地盤改良を行っただけでは、液状化対策になっていない場合もあるため、液状化する地層を対象にした改良であることが重要です。
地盤改良は形式・強度・改良率で決まる

盛土の地盤改良では、主に次の3点を確認します。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 改良形式 | 問題に適した工法が選ばれているか |
| 改良強度 | 必要な強度が確保されているか |
| 改良率 | 必要な範囲が十分に改良されているか |
改良強度は、高ければ高いほどよいわけではありません。
必要以上に高い強度を設定すると、固化材の量や施工費が増えます。
一方で、強度が不足すれば、沈下や崩壊を防げません。
また、柱状改良のように改良体を一定間隔で配置する場合は、地盤全体が改良されるわけではありません。
改良体1本の強度だけでなく、本数や配置を含めた改良率を設定し、未改良部分を含めて安全性を確認する必要があります。
地盤改良を依頼するときに確認したいこと

土地造成を依頼するときは、施工会社や設計者に次の内容を確認しましょう。
- 地盤改良は何を防ぐために行うのか
- どの範囲と深さを改良するのか
- どのような改良形式を採用するのか
- 改良強度はどのように決めたのか
「地盤改良をするので大丈夫です」という説明だけでなく、計画の根拠まで確認することが大切です。
まとめ

盛土は、地盤改良をすれば無条件に安全になるわけではありません。
圧密沈下、斜面崩壊、液状化など、対策する問題に応じて、地盤改良の形式・改良強度・改良率を適切に設定する必要があります。
土地造成を依頼する際は、地盤改良を実施するかどうかだけでなく、何を防ぐために、どの範囲を、どの程度改良するのかまで確認しましょう。
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