地盤改良では、軟弱な土にセメント系固化材を混ぜることで、地盤の強度を高めます。
粉体を直接混ぜる方法と、スラリー(セメント系固化材に水を加えたもの)を混ぜる方法があり、必要な添加量も土質や目標とする改良強度によって異なります。
とくに腐植土は強度が発現しにくく、一般的な土より多くの固化材が必要になる場合があります。
この記事では、地盤改良でセメント系固化材を混ぜる仕組み、工法ごとの混ぜ方、土1m³あたりの配合量の決め方について解説します。
地盤改良で土にセメントを混ぜると固まる理由

セメント系固化材を使用する地盤改良では、軟弱な土と固化材を混合し、化学反応によって強度を高めます。
セメント系固化材に含まれる成分が土中の水と反応し、土粒子同士を結び付けることで、改良前より硬い地盤や改良体をつくる仕組みです。
地盤改良では、一般的なセメントをそのまま使用するのではなく、土質に応じて成分を調整したセメント系固化材を使用するのが一般的です。
ただし、同じ固化材を同じ量だけ混ぜても、すべての土で同じ強度が得られるわけではありません。
土質や含水比、有機物の含有量などによって強度の発現が異なるため、対象地盤に応じて固化材の種類や添加量を決める必要があります。
セメント系固化材は粉体またはスラリーで混ぜる
セメント系固化材の混合方法には、粉体をそのまま土に混ぜる方法と、水を加えてスラリー状にして混ぜる方法があります。
粉体による改良では、地表面に固化材を散布し、バックホウなどを使用して土と攪拌します。
一方、スラリーによる改良では、セメント系固化材と水を混ぜた液体を地中へ吐出し、攪拌翼によって原地盤と混合します。
粉体とスラリーのどちらを使用するかは、改良工法や改良深度、施工機械、周辺環境などによって異なります。
いずれの方法でも、固化材が一部に偏らないよう、改良対象土と均一に混ぜることが重要です。
セメント系固化材を混ぜる主な地盤改良工法
セメント系固化材を土と混ぜる地盤改良工法には、主に表層改良工法と柱状改良工法があります。
表層改良工法は地表面付近の軟弱地盤を面的に改良する工法で、柱状改良工法は地中に円柱状の改良体を造成する工法です。
改良深度だけでなく、構造物の荷重、地層構成、施工スペースなども考慮して工法を選定します。
表層改良工法

表層改良工法では、地表面に粉体状のセメント系固化材を散布し、バックホウなどで原地盤と混合します。
攪拌後は所定の高さに敷きならし、転圧して締め固めることで、面的な改良地盤をつくります。
比較的浅い範囲を改良する工法であり、建築物の基礎地盤や造成地盤などに用いられます。
固化材の散布量や改良厚さにばらつきが生じると、改良地盤の強度も不均一になるため、施工範囲と混合状況を適切に管理する必要があります。
柱状改良工法

柱状改良工法では、セメント系固化材と水を混ぜたスラリーを地中へ吐出し、攪拌翼を回転させながら原地盤と混合します。
これにより、地中に円柱状の改良体を造成し、構造物の荷重を改良体と周辺地盤で支持します。
改良径や改良深度は、必要な支持力や沈下量だけでなく、使用する施工機械の性能によっても制限されます。
そのため、設計時には搬入路の幅や勾配、施工スペース、架空線の高さなどを確認し、現場で施工可能な改良仕様を決めることが重要です。
セメント系固化材は土1m³あたりどのくらい混ぜるのか

セメント系固化材の添加量は、改良する土1m³あたりの質量で表します。
ただし、必要な添加量を一律に決めることはできません。
同じ添加量でも、対象となる土質や含水比、固化材の種類などによって、発現する強度が異なるためです。
そのため、必要な改良強度を設定したうえで、現地土を用いた配合試験を行い、土1m³あたりの添加量を決定します。
添加量は土質と必要な改良強度によって異なる
セメント系固化材の添加量は、対象となる土質と必要な改良強度によって異なります。
一般に、固化材の添加量を増やすと改良土の強度も高くなる傾向があります。
ただし、添加量を増やせば比例して強度が高くなるとは限りません。
土に含まれる水分や有機物、粘土鉱物などの影響によって、同じ添加量でも強度の発現に差が生じます。
設計では構造物の荷重や地盤条件から必要な改良強度を設定し、その強度を満たす添加量を確認する必要があります。
腐植土は強度が出にくく添加量が多くなる傾向がある

腐植土等の有機質土は、セメント系固化材を混ぜても強度が発現しにくい土です。
有機物がセメントの水和反応を妨げるため、砂質土や一般的な粘性土よりも添加量が多くなる傾向があります。
高有機質土用の固化材を使用することで対応できる場合もありますが、添加量を増やしても必要な強度が得られない可能性があります。
そのため、腐植土が改良対象に含まれる場合は、固化材の種類も含めて配合試験で確認することが重要です。
現地土を用いた配合試験で添加量を決める
配合試験では、現地から採取した土に添加量の異なるセメント系固化材を混ぜ、供試体を作製します。
所定の材齢まで養生したあとに一軸圧縮試験を行い、必要な強度を満たす固化材の種類と添加量を確認します。
改良対象となる地層が複数ある場合は、強度が発現しにくいと想定される土層を含めて試験することが重要です。
配合試験の結果によっては、固化材の添加量だけでなく、設計基準強度や改良径、改良本数などを見直す必要があります。
手戻りを防ぐためにも、ボーリング調査で採取した試料を用いて、地盤改良の設計前に配合試験を行っておくことが望まれます。
セメント系固化材は均一に混ぜる必要がある

セメント系固化材は、改良対象となる土全体に均一に行き渡るように混ぜる必要があります。
混合が不十分だと、固化材が集中した部分と未改良土が残った部分が生じ、改良地盤や改良体の強度にばらつきが生じます。
表層改良では、固化材の散布量や攪拌状況を確認しながら、所定の改良厚さ全体を均一に混合します。
柱状改良では、攪拌翼の回転数や昇降速度、固化材スラリーの吐出量などを管理し、連続した改良体を造成します。
必要な攪拌回数や施工速度は、工法や施工機械、対象土質によって異なるため、施工計画に定めた管理値に従うことが重要です。
地盤改良でセメント系固化材を使用する際の注意点

セメント系固化材による地盤改良では、必要な強度が得られる配合を決めるだけでなく、設計条件と施工条件の整合を確認する必要があります。
配合試験を行う時期や設計基準強度の設定、施工機械の搬入可否などを設計後に確認すると、改良仕様を見直すことになりかねません。
また、施工後には改良体の強度を確認し、設計で求めた品質が確保されていることを確認します。
配合試験は設計前に行うことが望ましい
配合試験の結果によっては、想定した添加量で必要な強度が得られず、設計基準強度や改良径、改良本数などを見直す必要があります。
そのため、ボーリング調査で採取した改良対象土を用いて、地盤改良の設計前に配合試験を行うことが望まれます。
改良対象となる地層が複数ある場合は、腐植土などの強度が発現しにくい土層を含め、強度的に不利になる試料を選定します。
設計前に必要な添加量を確認しておけば、配合試験の結果を改良体の設計へ反映でき、設計の手戻りを防ぐことができます。
事前に確認できない場合は発現可能な強度で設計する
設計前に配合試験を実施できない場合は、対象土質や既往の配合実績を踏まえ、実際に発現を見込める設計基準強度を設定します。
配合試験を行わずに高い強度を見込むと、施工前の試験で必要な強度が得られず、改良仕様の見直しが必要になる可能性があります。
筆者の経験上、設計基準強度をFc=600~800kN/m²程度までに抑えておくと安心です。
ただし、適用できる強度は土質や固化材、工法などによって異なるため、既往実績や採用する技術基準も確認しましょう。
設計前に配合試験ができない場合でも、施工前には現地土を用いて必要な強度と添加量を確認します。
柱状改良では搬入路や架空線などの施工条件も確認する

柱状改良の改良径や改良深度は、構造計算だけで決めるものではありません。
使用する施工機械によって施工可能な改良径や深度が異なるため、設計前に現場へ搬入できる機械を確認する必要があります。
搬入路の幅や勾配、道路から敷地への進入経路、作業スペース、地盤の支持状態などを確認します。
敷地内や搬入経路に架空線がある場合は、施工機械の高さや組立てに必要な空間も考慮が必要です。
施工条件を確認せずに設計すると、予定した機械を使用できず、改良径や改良本数、配置などを見直す可能性があります。
施工後に改良体の強度を確認する
配合試験で必要な強度が得られても、現場で造成した改良体が同じ強度になるとは限りません。
実際の施工では、土質のばらつきや固化材の吐出量、攪拌状態などが改良体の品質に影響します。
そのため、施工時に採取した試料や改良体から採取したコアなどを用いて一軸圧縮試験を行い、所定の強度が確保されていることを確認します。
強度だけでなく、施工記録によって改良深度、固化材の使用量、攪拌状況などを確認し、設計どおりに施工されていることも確認します。
まとめ

地盤改良でセメント系固化材を混ぜる場合は、土質や必要な改良強度に応じて、固化材の種類と添加量を決める必要があります。
とくに腐植土を含む地盤では、想定した強度が得られない可能性があるため、設計前に現地土を用いた配合試験を行っておきましょう。
柱状改良を採用する場合は、計算結果だけで改良径や改良深度を決めず、施工機械の搬入路や作業スペース、架空線なども事前に確認してください。
配合試験、設計、施工条件を順番に確認し、施工後の強度試験まで含めて地盤改良の品質を確保しましょう。
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