一軸圧縮試験と三軸圧縮試験は、対象となる土質に応じて使い分ける必要があります。
粘性土のせん断強度は、三軸圧縮試験(UU)または三軸圧縮試験(CU)で評価するのが基本です。
ただし、採取した粘性土の供試体が自立する場合は、より簡便な一軸圧縮試験を用いることもできます。
一方、砂質土や盛土材のせん断強度を評価する場合は、三軸圧縮試験(CD)を用います。
本記事では、宅地造成における一軸圧縮試験と三軸圧縮試験の使い分けを、対象土や試験条件ごとに解説します。
一軸圧縮試験は自立する粘性土に用いることができる
一軸圧縮試験は、円柱状に成形した供試体へ拘束圧を加えず、軸方向から圧縮して強度を測定する試験です。
三軸圧縮試験よりも試験方法が簡便であるため、自立させられる粘性土の強度評価に多く用いられます。
一軸圧縮強さから粘着力を求める
一軸圧縮試験では、供試体が破壊したときの最大圧縮応力から一軸圧縮強さquを求めます。
飽和した粘性土の非排水条件では、せん断抵抗角をφ=0として扱い、次式から粘着力cを算出します。
c=qu/2
求めた粘着力は、粘性土地盤の円弧すべり計算などに使用します。
自立しない土や砂分の多い土には適用しない
一軸圧縮試験では供試体に拘束圧を加えないため、試験中も円柱形状を維持できることが前提です。
軟らかく自立しない土や砂分の多い土は、供試体の成形や設置ができないため、側方から拘束圧を加えられる三軸圧縮試験を選定します。
三軸圧縮試験は対象土や圧密条件によって複数の種類がある
三軸圧縮試験は、供試体に拘束圧を加えた状態で圧縮し、土のせん断強度を求める試験です。
圧密と排水の条件によって大きくUU・CU・CDに分かれており、対象土と設計で想定する状態に応じて試験方法を選びます。
宅地造成では、粘性土にUUまたはCU、砂質土にCDを用いるのが基本です。
粘性土には三軸圧縮試験(UUまたはCU)を用いる
粘性土では、圧密前と圧密後のどちらの強度を評価するかによって、UUとCUを使い分けます。
短期問題には、現状の非排水せん断強さを求める三軸圧縮試験(UU)を用います。
長期問題には、所定の応力で圧密した後の強度を求める三軸圧縮試験(CU)を用います。
砂質土には三軸圧縮試験(CD)を用いる
砂質土は透水性が高く、せん断中に間隙水が排出されるため、排水条件で評価します。
そのため、砂質土のせん断強度を試験によって求める場合は、三軸圧縮試験(CD)を用います。
三軸圧縮試験(CD)では、主に砂質土のせん断抵抗角を求めます。
三軸圧縮試験(UU)は短期問題に用いる
三軸圧縮試験(UU)は、供試体を圧密せず、せん断中の排水も許さない条件で行う試験です。
盛土の施工直後など、粘性土地盤の圧密が進んでいない短期状態を想定した安定計算に用います。
現状の非排水せん断強さを求める
三軸圧縮試験(UU)では、採取時点の粘性土が持つ非排水せん断強さを求めます。
圧密による強度増加を考慮しない場合は、三軸圧縮試験(UU)で求めた粘着力を設計に用いることができます。
圧密による粘着力の増加を見込む場合は圧密試験も行う
盛土荷重によって粘性土地盤が圧密すると、有効応力の増加に伴って粘着力も増加します。
この強度増加を安定計算に反映する場合は、三軸圧縮試験(UU)に加えて圧密試験を行います。
圧密試験から盛土後の圧密状態を求め、三軸圧縮試験(UU)の結果と組み合わせることで、圧密後の粘着力を推定できます。
計画変更に柔軟に対応できるため宅地造成では主流となっている
三軸圧縮試験(UU)と圧密試験を組み合わせる方法では、変更後の盛土荷重に応じて圧密状態と粘着力を再計算できます。
盛土高や造成計画が変更されても、設定した圧密応力ごとに三軸圧縮試験をやり直す必要がありません。
計画変更へ柔軟に対応できるため、宅地造成の粘性土地盤では三軸圧縮試験(UU)を用いる方法が主流です。
三軸圧縮試験(CU)は長期問題に用いる
三軸圧縮試験(CU)は、供試体を所定の応力で圧密した後、排水を許さずにせん断する試験です。
造成後に圧密が進んだ粘性土地盤を対象として、長期的な安定性を検討する場合に用います。
計画した圧密条件で粘性土の強度を求める
三軸圧縮試験(CU)では、計画する盛土荷重などをもとに圧密応力を設定します。
その圧密応力を供試体に加えて圧密させることで、造成後の地盤状態を再現してせん断強度を求めます。
圧密による強度増加を試験結果へ直接反映できる点が、三軸圧縮試験(UU)との違いです。
設定した圧密応力に試験結果が左右される
三軸圧縮試験(CU)で得られる強度は、試験時に設定した圧密応力に対応する値です。
圧密応力を大きく設定すれば、供試体の圧密が進み、得られるせん断強度も変化します。
そのため、試験条件を決める段階で、盛土高や上載荷重などの造成計画を明確にしておく必要があります。
盛土高などの計画変更には対応しにくい
試験後に盛土高や上載荷重が変更されると、当初設定した圧密応力と実際の計画条件が一致しなくなる場合があります。
変更後の圧密状態を三軸圧縮試験(CU)で直接評価するには、新しい圧密応力を設定して再試験しなければなりません。
よって、宅地造成の実務上はUU試験のほうが多く用いられます。
三軸圧縮試験(CD)は砂質土のせん断強度を求める場合に用いる
三軸圧縮試験(CD)は、供試体を圧密した後、せん断中の排水を許しながらゆっくりと圧縮する試験です。
砂質土は透水性が高く、載荷によって生じた過剰間隙水圧が比較的早く消散するため、排水条件におけるせん断強度を評価します。
一般的な現地盤ではN値からせん断抵抗角を推定する
一般的な砂質地盤では、標準貫入試験で得られたN値からせん断抵抗角φを推定します。
宅地造成では、N値が4以上の砂質土を対象として、大崎式などの経験式を用いる方法が一般的です。
深部の不攪乱試料採取には凍結サンプリングなどが必要になる
砂質土は粘着力が小さいため、通常のサンプリングでは土粒子の配列や密度が変化しやすくなります。
特に地下水位以深の砂質土を原地盤の状態のまま採取するには、凍結サンプリングなどの高度な採取方法が必要です。
採取費用や施工規模を考えると、一般的な宅地造成で深部の砂質土に三軸圧縮試験(CD)を行うことはあまり多くありません。
表層は原地盤の密度を再現して試験できる
表層の砂質土は、現場密度試験によって原地盤の湿潤密度や乾燥密度を確認できます。
採取した試料を原地盤と同程度の密度になるように詰め直し、再構成した供試体を用いて三軸圧縮試験(CD)を行います。
この方法では土粒子の配列を完全には再現できませんが、表層地盤の密度条件を反映したせん断強度を確認できます。
盛土材は施工条件を再現して三軸圧縮試験(CD)を行う
盛土材は、採取した試料をそのまま試験するのではなく、計画する施工条件に合わせて供試体を作製します。
締固め試験で最適含水比と最大乾燥密度を求める
まず、使用を予定する盛土材で締固め試験を行い、最適含水比と最大乾燥密度を求めます。
最適含水比は最も効率よく締め固められる含水比であり、最大乾燥密度はその条件で得られる乾燥密度です。
これらの試験結果をもとに、盛土施工時の含水比や締固め度を設定します。
含水比と締固め度を合わせて供試体を作製する
三軸圧縮試験(CD)に用いる供試体は、計画する含水比と締固め度に合わせて作製します。
施工時と異なる条件で供試体を作製すると、実際の盛土よりも大きい、または小さいせん断強度が得られる可能性があります。
試験結果を設計に反映するためには、現場で採用する材料と施工管理基準を試験条件へ正確に反映させる必要があります。
三軸圧縮試験結果を設計に用いる際の留意点

三軸圧縮試験では、粘着力cとせん断抵抗角φの両方が求められます。
ただし、試験で得られた2つの強度定数を、両方とも設計に見込んではいけません。
対象土の性質に応じて一方を0とし、設計上の強度定数を設定するのが一般的です。
粘性土ではせん断抵抗角を0とする
粘性土を評価する場合は、一般的にせん断抵抗角をφ=0として扱います。
三軸圧縮試験(UU)などで粘着力とせん断抵抗角の両方が得られても、設計では粘着力cのみを用います。
砂質土では粘着力を0とする
砂質土は、主に土粒子同士の摩擦やかみ合わせによってせん断強度を発揮します。
三軸圧縮試験(CD)の結果で見かけ上の粘着力が得られた場合でも、一般的にはc=0としてせん断抵抗角φのみを設計に用います。
中間土は強度定数が小さくなる傾向がある
砂分と細粒分をともに含む中間土では、粘着力とせん断抵抗角の両方がせん断強度に影響します。
そのため、粘性土としてφ=0とした場合や、砂質土としてc=0とした場合に、残る強度定数が小さくなることがあります。
中間土の場合はcとΦの両方を見込んで良いかを予め審査機関と事前協議しておくと良いでしょう。
まとめ

一軸圧縮試験と三軸圧縮試験は、次の順序で選ぶとわかりやすいです。
| 確認する条件 | 選ぶ試験 |
|---|---|
| 粘性土で供試体が自立する | 一軸圧縮試験 |
| 粘性土の短期問題を評価する | 三軸圧縮試験(UU)※圧密試験と併用することで長期問題の評価も可能 |
| 粘性土の長期問題を評価する | 三軸圧縮試験(CU) |
| 砂質土や盛土材を評価する | 三軸圧縮試験(CD) |
まず対象となる土質を確認し、次に圧密条件や供試体の作製可否を踏まえて試験を選定しましょう。
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