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擁壁の水抜き穴を掃除する方法|自分でできる範囲と注意点

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擁壁の水抜き穴は、背面にたまる水を排出し水圧の上昇を抑える、見た目以上に重要な構造です。

落ち葉や泥、草などで詰まると排水機能が低下するため、定期的な確認と清掃が欠かせません。

ただし、奥まで無理に掃除すると、背面に設けられた吸い出し防止材を傷つけるおそれがあります。

掃除は見える範囲にとどめ、草が大きく育っている場合は無理に引き抜かず、根元で切るなど慎重に対応する必要があります。

この記事では、擁壁の水抜き穴を自分で掃除できる範囲と、降雨後に確認したい排水状況、専門家へ相談すべき状態について解説します。

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土質 太郎

建設コンサルタントに長年従事しており、宅地造成の地盤分野に特化した情報を発信しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士

擁壁の水抜き穴は見える範囲のみ掃除する

擁壁の水抜き穴を掃除する際は、壁面から確認できる範囲にとどめましょう。

水抜き穴の背面には吸い出し防止材が設置されており、無理に触るとかえって不具合を招くおそれがあります。

外観を整える目的であれば、出口付近の汚れや異物だけを取り除けば十分です。

泥や落ち葉などを出口付近から取り除く

水抜き穴の出口付近に泥や落ち葉、枯れ草などがたまっている場合は、手や柔らかいブラシで取り除きます。

壁面の黒ずみや泥汚れが気になる場合も、水抜き穴の周囲を水で軽く洗い流す程度にとどめましょう。

詰まりの原因となる異物を早めに除去しておけば、排水口を塞ぐリスクを抑えられます。

ただし、穴の奥に土砂が見える場合でも、無理に掻き出してはいけません。

棒やブラシを奥まで差し込まない

水抜き穴へ棒やワイヤーブラシを深く差し込むと、背面の吸い出し防止材を破損させるおそれがあります。

吸い出し防止材が傷つくと、排水時に背面土が流出し、擁壁背面に空洞が生じる可能性があります。

また、高圧洗浄機のノズルを差し込んだり、強い水圧を奥へ噴射したりする方法も避けましょう。

見える範囲を掃除しても排水不良が疑われる場合は、自分で奥まで処置せず、専門家へ相談してください。

水抜き穴から草が生えている場合の対処方法

擁壁の水抜き穴には草が生えることが多い

水抜き穴から生えた草は、成長すると排水を妨げる原因になります。

根が太くなるほど除去しにくくなるため、草の大きさに応じて適切に対処しましょう。

小さい草は早めに取り除く

草が小さいうちは、根が水抜き穴の奥まで広がっていないため、早めに取り除きます。

放置すると、茎や根に泥や落ち葉が引っ掛かり、水抜き穴を塞ぐおそれがあります。

定期的に水抜き穴を確認し、草が大きく育つ前に除去することが重要です。

大きく育った草は引き抜かずに切って除去する

すでに草が大きく育っている場合は、無理に引き抜いてはいけません。

根と一緒に背面土や吸い出し防止材を動かし、水抜き穴の排水機能を損なうおそれがあります。

まずは水抜き穴の出口付近で茎を切り、必要に応じて除草剤を使用して徐々に枯らします。

降雨後に水抜き穴の排水状況を確認する

水抜き穴を掃除した後は、降雨後に排水状況を確認しましょう。

水が流れた跡や壁面の濡れ方を確認すると、水抜き穴が機能しているかを判断しやすくなります。

ただし、すべての水抜き穴から均等に水が出るわけではありません。

背面地盤の状態や水の流れによって排水量は異なるため、特に下部の水抜き穴を重点的に確認します。

特に下部の水抜き穴に排水跡があるか確認する

降雨後は下部の水抜き穴に水の流れた跡があるかを確認しましょう

擁壁の背面に浸透した水は下部へ集まるため、降雨後は下部の水抜き穴に排水跡があるか確認します。

水抜き穴の下に濡れた跡や水が流れた筋が残っていれば、背面の水が排出されていると判断できます。

一方、まとまった雨が降った後でも、下部の水抜き穴に排水跡がまったく見られない場合は、出口付近が塞がれていないか確認しましょう。

見える範囲を掃除しても排水された形跡がない場合は、水抜き穴の内部や背面排水の不具合が考えられます。

上部の水抜き穴は水が出なくても過度に気にしない

上部の水抜き穴は、降雨後でも水が流れないことがあります。

背面に浸透した水は下部へ集まりやすく、上部の水抜き穴まで水位が上昇しなければ排水されないためです。

したがって、上部の水抜き穴から水が出ていないだけで、詰まりや排水不良と判断する必要はありません。

水抜き穴の排水状況は、上部と下部を一律に評価せず、下部を中心に確認しましょう。

掃除とあわせて確認したい擁壁の異常

擁壁に大きなクラックや傾きなどの異常がないかも清掃時に併せて確認しましょう

水抜き穴を掃除する際は、穴の汚れや詰まりだけでなく、擁壁全体に異常がないか確認しましょう。

水抜き穴からの土砂流出や伸縮目地のずれは、擁壁背面や基礎地盤に変状が生じている可能性を示します。

また、晴天時よりも降雨後の方が排水状況や異常を確認しやすいため、掃除や点検を行う時期も重要です。

土砂や濁水が流出していないか確認する

水抜き穴から土砂や濁水が流出している場合は、単なる汚れとして掃除してはいけません。

吸い出し防止材が破損し、排水とともに擁壁背面の土が流れ出している可能性があります。

背面土の流出が続くと、擁壁背面に空洞が生じ、地盤沈下や擁壁の変状につながります。

水抜き穴の下に砂や細かい土が堆積している場合も、奥まで清掃せずに専門家へ相談しましょう。

伸縮目地のずれや段差を確認する

擁壁の傾きや不同沈下は、伸縮目地を確認すると見つけやすくなります。

目地の上下で幅が異なる場合や、左右の擁壁に段差や前後のずれが生じている場合は、擁壁が傾いている可能性があります。

また、目地が途中で折れている場合や、周囲にひび割れが生じている場合も注意が必要です。

水抜き穴の掃除とあわせて、近くにある伸縮目地を下から上まで目視で確認しましょう。

掃除をする時期にも考慮する

降雨中の作業は足元が悪く危険なため控えましょう

水抜き穴の掃除は、梅雨や台風シーズンの前に行うと、豪雨時の排水不良を防ぎやすくなります。

また、大雨や長雨の後は、水が流れた跡や濁水、土砂の流出などを確認するのに適した時期です。

落ち葉がたまりやすい秋や、草が成長し始める春から初夏にも点検すると、詰まりの原因を早めに取り除けます。

ただし、降雨中や擁壁周辺がぬかるんでいる状態での作業は避け、安全を確保できる晴天時に掃除しましょう。

水抜き穴の掃除を専門家へ相談すべきケース

個人で対処できない場合や、判断できない変状に気づいたら専門家に相談しましょう

水抜き穴の奥まで土砂が詰まっている場合は、自分で無理に取り除かず、専門家へ相談しましょう。

棒やブラシを深く差し込むと、吸い出し防止材を破損させ、背面土の流出を招くおそれがあります。

また、見える範囲を掃除しても降雨後に排水跡が確認できない場合は、水抜き穴だけでなく、背面の透水層や排水経路に不具合が生じている可能性があります。

また、水抜き穴から土砂や濁水が継続して流出している場合も、単なる詰まりではありません。

吸い出し防止材の破損や背面土の流出が疑われるため、清掃を中止して点検を依頼してください。

特に擁壁にひび割れ、はらみ出し、傾き、伸縮目地のずれや段差が見られる場合は、排水機能だけでなく擁壁全体の安全性を確認する必要があります。

よくある質問

水抜き穴はどこまで掃除してよいですか?

水抜き穴の掃除は、壁面から見える範囲にとどめましょう。

出口付近にたまった泥や落ち葉、枯れ草などは取り除いて構いません。

ただし、棒やブラシを奥まで差し込むと、吸い出し防止材を破損させるおそれがあります。

見える範囲を掃除しても詰まりが解消されない場合は、専門家へ相談してください。

高圧洗浄機を使ってもよいですか?

水抜き穴の奥に高圧水を噴射する方法は避けましょう。

強い水圧によって土砂を奥へ押し込んだり、吸い出し防止材を傷めたりするおそれがあります。

壁面や水抜き穴の出口付近を洗う場合も、弱い水流で軽く洗い流す程度にとどめてください。

雨の後に水が出ていないと詰まっていますか?

雨の後に水が出ていないだけで、詰まっているとは限りません。

背面に浸透する水の量や流れ方によって、すべての水抜き穴から均等に排水されるわけではないためです。

特に上部の水抜き穴は、水が出ていなくても過度に気にする必要はありません。

一方、まとまった雨の後でも下部の水抜き穴に排水跡がまったくなく、出口付近を掃除しても改善しない場合は、内部や背面排水の不具合が疑われます。

まとめ

擁壁の水抜き穴は、背面にたまる水を排出し、水圧の上昇を抑える重要な構造です。

掃除は出口付近の泥や落ち葉を取り除く程度にとどめ、棒やブラシを奥まで差し込まないようにしましょう。

草が生えている場合は小さいうちに除去し、大きく育っている場合は無理に引き抜かず、切って徐々に取り除きます。

また、降雨後は特に下部の水抜き穴に排水跡があるか確認し、土砂や濁水の流出、伸縮目地のずれや段差がないかもあわせて点検しましょう。

見える範囲を掃除しても排水されない場合や、擁壁に明らかな変状がある場合は、自分で無理に対処せず専門家へ相談してください。

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