「宅地造成等規制法と盛土規制法って、結局なにが違うのか分からない」
「土地開発や造成工事にどんな影響が出るのか不安」
「許可や届出の基準が変わったと聞いたけれど、何に注意すればいいのか知りたい」
本記事はこうした疑問や悩みを解決するための記事です。
本記事では、旧来の宅地造成等規制法と新たに施行された盛土規制法の違いを軸に、制度の概要から具体的な規制内容、実務への影響までを体系的に整理します。
- 旧法と新法の違いと改正ポイント
- どの土地や工事が規制対象になるのか、その判断基準
- 許可申請の流れや造成・土地購入時の注意点
私は宅地造成に関わる地盤の専門家であり、建設コンサルタント業に長年従事してきました。
実務の現場で数多くの造成計画や地盤調査、行政協議に携わってきた経験をもとに、制度の条文だけでは分かりにくい実務上のポイントや注意点を、できる限り具体的に解説します。
この記事を読み終える頃には、盛土規制法の全体像と旧法との違いが整理され、自分の土地や計画中の造成工事がどのような扱いになるのかを判断できるようになります。
無許可工事や手続き漏れといったリスクを避け、安心して宅地開発や土地取引を進めるための知識を身につけていきましょう。
1.盛土規制法とは何か|旧宅地造成等規制法との違い

盛土規制法の概要と目的
盛土規制法とは、正式名称を「宅地造成及び特定盛土等規制法」といい、盛土や切土、土石の堆積による災害を防止することを目的とした法律です。結論として、旧宅地造成等規制法よりも対象区域と規制内容を大きく広げ、全国一律で安全性を確保する仕組みに改正されました。
宅地造成だけでなく、森林や農地、市街地周辺の土地も規制対象とされ、土地の形質変更による危険を未然に防ぐ点が特徴です。
旧宅地造成等規制法から何が改正されたのか
旧法では、主に宅地造成工事規制区域に限って許可制度が適用されていました。しかし新法では、都道府県知事が指定する区域内であれば、造成工事や堆積行為が広く規制対象になります。
主な改正点は次のとおりです。
- 規制区域を全国で指定可能に拡大
- 森林・農地も含めた包括的な規制
- 許可申請や届出の義務化
- 無許可工事への罰則強化
- 土地所有者や事業者の責務を明確化
制定された背景と災害防止の考え方
国土交通省によると、近年は豪雨による土砂崩れや崩壊被害が各地で発生し、盛土が原因とされる事例も報告されています。こうした被害を受け、令和に入り制度を抜本的に見直し、全国一律で危険な盛土を防止する仕組みが整備されました。
国や公共団体は基礎調査を実施し、危険が想定される区域を指定したうえで、事前の許可や検査を義務づけています。
令和の施行時期と全国一律の運用
盛土規制法は令和5年に全面施行され、各都道府県や中核市が区域指定と運用を進めています。今後は令和7年までに全国で規制区域の指定が完了する予定とされており、宅地造成や土地開発を行う場合は事前確認が欠かせません。
結論として、盛土規制法は旧宅地造成等規制法よりも対象範囲と規制を大幅に強化し、災害防止を目的に全国一律で運用される法律へと進化したといえます。
2.どんな土地や工事が対象になるのか

規制区域の種類と指定基準
盛土規制法では、結論として「危険が生じるおそれがある土地」は用途に関係なく規制区域に指定されます。旧宅地造成等規制法では宅地中心でしたが、新法では森林や農地、市街地周辺まで対象が広がりました。
都道府県知事や中核市は地形や地盤、過去の災害発生状況を調査し、崩壊の危険があるエリアを指定します。区域は大きく「宅地造成等工事規制区域」と「特定盛土等規制区域」に分けられます。
宅地・森林・農地など対象エリア
規制対象となるのは宅地だけではありません。人家の近くの山林、農地、河川周辺なども含まれます。
国土交通省は、盛土による土砂崩落が住宅地に被害を及ぼした事例を受け、全国で基礎調査を実施しています。その結果をもとに、都道府県が区域指定を進め、公表やパンフレットで周知しています。
盛土・切土・堆積など規制対象行為
対象となる行為は次のとおりです。
- 盛土による土地のかさ上げ
- 切土による斜面形成
- 土石や土砂の堆積
- 一時的な仮置きでも危険があれば規制対象
造成工事に着手する前には、許可申請や届出が必要になる場合があります。
規模や面積による判断基準
すべての工事が許可対象になるわけではなく、面積や高さなど一定規模を超える場合に厳しい審査が行われます。
基準は国の省令や条例で定められ、擁壁の設置や排水施設の整備、周辺への影響も確認されます。
許可が必要な場合と届出で足りる場合
原則として大規模な盛土や造成工事は許可が必要です。一方、小規模で危険性が低い場合は届出で足りるケースもあります。
- 許可が必要:大規模造成、住宅地近接地、崩壊のおそれが高い場合
- 届出で足りる:規模が小さく安全対策が十分な工事
結論として、盛土規制法では土地の用途に関係なく区域指定され、盛土・切土・堆積といった行為は規模と危険性によって許可や届出が必要になる点が旧法との大きな違いです。
3.盛土規制法のメリットとデメリット

安全性が高まるメリット
盛土規制法の最大のメリットは、結論として災害の発生を未然に防ぎ、人家や市街地の安全性を高める点にあります。
盛土や切土、土砂の堆積を行う際に、事前の許可や技術的基準への適合が求められるため、危険な造成工事が減少します。擁壁の設置や排水施設の整備、地盤調査の実施などが義務づけられ、周辺環境への影響も確認されます。
土地購入や造成工事の影響
国土交通省は、不適切な盛土が土砂崩壊を引き起こし住宅被害につながった事例を踏まえ、全国で規制を強化しました。
これにより土地の所有者や事業者は、規制区域内で土地を購入する際や開発計画を立てる際に、区域指定状況や許可の有無を事前に確認する必要があります。
費用や工期が増えるデメリット
一方で、許可申請や審査、中間検査、完了検査が追加されることで、手数料や設計費用、工期が増える可能性があります。
擁壁の高さや構造を見直す必要が出る場合もあり、小規模な造成でも届出が必要になるケースがあります。
主なデメリットの例
- 申請手続きが増える
- 工事着手まで時間がかかる
- 設計変更による追加費用
- 定期報告の負担
リスクを減らすための対策方法
こうした負担を抑えるには、事前に市町村や都道府県の窓口へ相談し、規制区域や基準を確認することが重要です。
地盤や地形を調査し、計画段階で安全対策を組み込めば、後からの設計変更を防げます。専門の土木技術者や建設コンサルタントに依頼することも有効です。
結論として、盛土規制法は安全性を高める一方で手続きやコストが増える側面がありますが、事前確認と適切な計画によってリスクを最小限に抑えることができます。
4.実務での影響と自治体の対応事例

都道府県や中核市の運用状況
盛土規制法は、結論として各都道府県や中核市が主体となって区域指定や運用を行っています。旧宅地造成等規制法よりも対象エリアが拡大したため、自治体は地形や地盤、過去の被害状況を調査し、危険性の高い土地を規制区域として指定しています。
区域指定後は、盛土や造成工事を行う際に許可申請や届出が必要となり、無許可での着手は罰則の対象になります。
東京都や市町村の取組例
東京都では、盛土による災害防止を目的として基礎調査を進め、規制区域の公表や手引の作成を行っています。市町村でも、窓口相談の設置や説明会の開催など、事業者や土地所有者に向けた周知活動が実施されています。
こうした対応は全国で進められており、条例で手続きや技術基準を補足している自治体もあります。
基礎調査結果の公表と説明会
国土交通省の方針に基づき、自治体は盛土の危険があるエリアを把握するための基礎調査を行い、その結果をホームページやパンフレット、PDF資料として公表しています。
説明会では、区域指定の理由や許可基準、申請の流れ、完了検査の必要性などが解説され、住民や法人事業者からの質問にも対応しています。
パンフレットや動画による周知
制度を正しく理解してもらうため、自治体は動画や手引きを活用した情報発信にも力を入れています。
問い合わせ先の電話番号や担当窓口を明示し、事前相談を促すことで、無許可工事や手続き漏れの防止につなげています。
結論として、盛土規制法は自治体主導で運用され、基礎調査の公表や説明会、資料配布を通じて、実務への影響を最小限に抑える体制づくりが進められています。
5.許可申請から工事完了までの流れ

事前相談と窓口への問い合わせ
盛土規制法の手続きは、結論として工事着手前の事前相談が重要です。都道府県や市町村の窓口に連絡し、対象区域かどうか、許可や届出が必要かを確認します。
区域指定の状況は公表資料やPDF、パンフレットで確認でき、電話での問い合わせにも対応しています。
許可申請書類と様式
許可が必要な場合は、申請書や図面、造成計画、地盤調査結果などを提出します。
主な提出書類は次のとおりです。
- 許可申請書
- 造成工事計画書
- 擁壁や排水施設の設計図
- 地形・面積の資料
- 安全対策の説明書
自治体ごとに様式や手引が用意されているため、必ず最新の資料を確認してください。
審査・中間検査・完了検査
提出後は、技術基準に適合しているか審査されます。工事中には中間検査が行われ、完了後には完了検査を受ける必要があります。
基準を満たさない場合は是正措置や再提出を求められることもあります。
工事中の安全管理と報告
工事期間中は、周辺への影響を防ぐため安全管理が求められます。土砂流出防止措置や定期報告、標識の設置などが必要です。
無許可の変更や規模拡大は命令違反となり、罰則の対象になります。
運用開始日をまたぐ工事の対応
運用開始日以前に着手していた工事でも、一定条件に該当する場合は届出や追加手続きが必要です。
結論として、盛土規制法では事前確認から完了検査まで一連の手続きを守ることが、安全確保とトラブル防止の鍵となります。
6.注意点・罰則

無許可工事のリスクと罰金・懲役
盛土規制法では、結論として無許可で盛土や造成工事を行うと重い罰則が科されます。旧宅地造成等規制法よりも規制が強化され、命令違反や虚偽申請があった場合には罰金や懲役の対象となります。
国土交通省は、危険な盛土が土砂崩落や人家被害を引き起こした事例を踏まえ、実効性のある罰則を設けています。無許可工事は是正命令や原状回復措置を受ける可能性もあります。
土地所有者や事業者の責務
盛土規制法では、工事を行う事業者だけでなく、土地所有者にも安全確保の責務があります。
定期点検や維持管理、危険が見つかった場合の報告義務が課され、放置すると行政指導の対象になります。
求められる主な対応
- 盛土や擁壁の状況確認
- 崩壊のおそれがある場合の通報
- 行政からの調査への協力
- 改善命令への対応
既存の擁壁や住宅を買うときの注意
規制区域内の土地や住宅を購入する場合は、過去の造成工事が適法かどうかを確認することが重要です。
検査済証の有無、擁壁の高さや構造、完了検査の記録などを調べ、市町村の窓口で区域指定状況を確認してください。
都市計画法との関係
盛土規制法は都市計画法と重なる場面があります。開発許可を受けた工事であっても、盛土規制法上の許可や届出が必要になるケースがあるため注意が必要です。
両法の適用関係は自治体の手引や条例で整理されています。
まとめ

本記事では、宅地造成等規制法と盛土規制法の違いを中心に、規制区域や許可制度、実務への影響まで整理しました。
新法では全国一律の運用が進み、盛土や造成工事の安全確保がより重視されています。今後は土地購入や開発計画の段階で、区域指定や許可の要否を確認することが欠かせません。
重要なポイントは次のとおりです。
①旧法より規制が拡大
②森林や農地も対象
③許可と届出を明確化
④無許可は重い罰則
⑤自治体運用が重要
⑥事前確認が不可欠
制度の仕組みを正しく理解しておけば、造成工事や土地取引のリスクを抑え、安全で確実な計画につなげることができます。



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