ボーリング調査と標準貫入試験の違いがわからない。
宅地造成における地盤調査では、ボーリング調査と標準貫入試験は同じような意味で使われることが多いため、それぞれの役割を混同している技術者をよく見かけます。
特に小規模な造成地では、コスト面からSWS試験で済ませる場合も多く、ボーリング調査に不慣れな技術者が多いのが実情です。
私は土木設計の専門家として、数多くの擁壁や盛土の設計に携わってきました。現場での土質判定から計算書作成まで一貫して行っています。
本記事では、その経験を踏まえボーリング調査と標準貫入試験の違いを解説します。
この記事を読めば、設計条件に応じた最適なボーリング調査計画を立てられるようになり、手戻りのない確実な地盤判定が可能になります。
結論から言うと、ボーリング調査は「地盤を掘削する作業」を指し、標準貫入試験は「その過程で地盤の硬さを測定する試験」を指します。
ボーリング調査と標準貫入試験の定義

冒頭でも述べましたが、ボーリング調査は、機械を使って地面に細い穴を掘る掘削作業。標準貫入試験は、その掘削中に行う原位置試験です。
宅地造成の現場では、この2つを組み合わせて実施するのが一般的です。
標準貫入試験を行う目的は、地盤の硬さ(N値)を確認することにあります。さらに、試験用サンプラーを用いて地中の試料を採取することも土層を判別する上で重要な作業です。
ボーリング単体で実施されるケースは宅造現場では稀(ほぼ皆無)
公共事業などのボーリング調査は、標準貫入試験を伴わずに単体で実施される場合もあります。
これは「地盤の硬さを知ること」以外の目的があるケースです。
例えば、地下水位を変動を常時観測するための観測孔を設けることが目的であれば、穴を掘る作業だけで済みます。
また、横ボーリングによる排水が目的の場合も、標準貫入試験は不要です。
ただし、一般的な宅地造成において、これらの特殊な作業を実施することはほとんどありません。
宅地造成において標準貫入試験はボーリングとセットと考えよう

顧客から「ボーリング」と言われたから。という安易な理由で標準貫入試験を省くのは非常に危険です。
標準貫入試験を行わないと、設計に必要なN値が得られません。
N値がなければ、構造物の支持力計算や杭、地盤改良の設計は不可能なため、再調査が必要になります。
設計実務においては、このボーリングと標準貫入試験の主従関係を正しく理解しておく必要があります。
顧客から「ボーリング」と言われた場合、必ず標準貫入試験もセットであると認識しましょう。
まとめ

宅地造成におけるボーリング調査で、標準貫入試験を省くことはまずありません。
もし安さを優先して標準貫入試験を省いてしまうと再調査の必要性が生じ、あらためて標準貫入試験を行うにはまたボーリング調査が必要になります。
二度手間によるコスト増、さらに再調査によって工期遅延を招くことも大きなリスクです。
もし「安くしたい」という要望があっても、安易に標準貫入試験を省いてしまわないように注意しましょう。
また、軟弱な粘性土を基礎の下に残す場合などは、沈下量を予測するために圧密試験が必要になります。
その際は、不攪乱試料の採取のために別孔でのボーリングが追加になる点も留意したいところです。
こうした軟弱地盤特有のリスクも踏まえ、適切な調査計画と見積もりを作成することを心掛けましょう。



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